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2020年07月03日
学校法人角川ドワンゴ学園とグルーヴノーツ 教育のオンラインとオフラインについて考えるトークイベントを開催
通信制高校・N高校(本校:沖縄県)を運営する学校法人角川ドワンゴ学園(以下:角川ドワンゴ学園)は、6月12日(金)に株式会社グルーヴノーツ(本社:福岡県)と共に教育について語り合うトークイベント「これからの“学び”の話をしよう」を開催した。
今回は「オンライン授業のリアルと可能性」をテーマに話し合われ、教育関係者や保護者、学生など155名の参加者が集った。
株式会社グルーヴノーツは、福岡市天神にてテクノロジーと遊ぶアフタースクール(学童保育)施設『テックパーク』を運営している。角川ドワンゴ学園とは、2019年度に経済産業省『「未来の教室」実証事業』において、グルーヴノーツが独自開発する中学生を対象とした機械学習教育コンテンツを組み合わせ、機械学習を活用した課題解決スキル育成プログラムとして拡張、今年1月よりN中等部にてAI・機械学習技術の活用を体験的に学ぶプログラムを導入した。
トークセッションの前に、N高校・N中等部におけるオンライン教育について、学校法人角川ドワンゴ学園 経験学習部の園利一郎氏から紹介がなされた。N高は現在約15,000名の生徒が在籍しており、3,000名弱が通学系のコースに所属している。フリースクールのN中等部には全国で800名程が在籍しているという。新型コロナウイルス感染拡大以降の3月頃から5月頃まで、N高校・N中等部の通学コースに所属する生徒もすべてリモートでの授業に転換。緊急事態宣言の解除を受け、リモート登校を解除し、リモートと登校を選べる状況であり、通学する生徒は校舎でZoomにて授業受けている。
オンラインとオフラインそれぞれのメリットについて、佐々木久美子氏(テックパーク 代表)は「リアルな場であれば、子どもは他の人の様子を見ながら次の行動に移せる。顔色を見ることは人間社会のコミュニケーションであり、社会性を身につけるにはオフラインが向いている。オンラインは人数の制限や物理的な距離に関わらず、コンテンツを受けられるのがメリット。コンテンツを配信するスタッフからも、通勤の手間がなくなり時間的なゆとりができ、集中して作業に取り組むことができると声があった」と話した。
園氏もオンライン教育の利点として地理的条件を超えて参加できる点を挙げた。N高で実施したオンラインでのワークショップでは、全国からテーマに興味がある学生が意欲を持って参加するため、高いモチベーションで授業が進んだと話し、今後オンライン教育増えた際、多くの場が主体的な動機で参加している子で形成され、動機を持たない子との差が開いて二極化していくのでは、と危惧した。また、「教育はオンラインとオフライン、同期と非同期の4象限で行われる」ともした。
ファシリテーターの林田暢明氏(「TAO」オーナー・総務省 地域力創造アドバイザー)は、同期型の探究学習やプロジェクトはオンラインだけだと限界はあるかもしれないが、オンライン非同期型で個別最適な学習プログラムを作れるのではないかと投げかけた。
それに対し園氏は、「非同期型学習を行うには意欲や動機が必要になる」と話し、動機がないことで生徒が非同期型の学習になじめないケースも少なくなく、非同期的な学習に向かうための動機形成の重要性に言及し、個別最適学習だけに傾倒していくのは困難なのでは、とした。
佐々木氏は、学校教育のオンライン授業は分からない子に対する指導には向かないのでは、とも意見した。テックパークでは、メイン講師のほかにチューターを1クラスに2~3人配置。分からない子や授業に遅れてきた子については、ブレイクアウトルームを作成しフォローを行っている。リアルな場では教員や友達同士でまかなえていた部分であり、クラス担任制の公教育ではオンライン上は難しいのではないかと話した。
他にもオンライン教育が進んだ際の教員の役目やAI学習などについての議論、参加者を交えた質疑応答が行われた。
このイベントは以前から必修化されたプログラミングやAI教育の必要性などを話し合える場を設けたいという趣旨により実施されたものであり、今後、シリーズ化していく予定とのこと。