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2021年01月25日
映画上映会・トークショーに寺脇研さん、前川喜平さん
元文部科学省の寺脇研さんと前川喜平さんが企画を務めた映画「子どもたちをよろしく」の上映会とトークショー(主催:スクール・コミュニティ研究会)が1月22日(金)、代々木高校東京本部(東京都渋谷区)で行われました。
この日は、映画上映後にトークショーを実施。会場には映画を企画した寺脇研さん、前川喜平さん、代々木高校校長の一色真司さんが登壇。コーディネーターをノンフィクション作家の北村年子さんが務め、会場のリアル参加者にZOOMによる参加者も加わり、映画や現代の子どもたちの現状について議論がなされました。
映画は、いじめや虐待、貧困などのシーンが重く映し出されています。答えや解決があるものではなく、観終えた人が子どもたちの現実を突き付けられる内容。映画を企画した寺脇さんは「映画を通して日本中の大人で考えるきっかけになってほしい」と企画意図を伝えました。
また、寺脇さんは「95年の阪神淡路大震災から日本に共助という考えが生まれた。いつしか、大人は経済のことだけを考え、子どものことは学校に任せるという流れに後戻りしつつある」と警鐘。「学校が変われば社会が変わると思われがちだが、本来は社会の変化で学校も変わった」と、男女共同参画社会など様々な社会変革も社会が変えてきたことを強調し、コミュニティのなかで子どもたちを見守っていく大切さを訴えました。
前川さんは、映画に映し出された現実は「コロナ禍でより深刻化している」と現況を指摘。「登場人物の子どもたちは、地域の中に寄り添える人がいなかった。居場所をどう作ってあげるかが大事だ」と話した一方で、自身が文科省在職中に携わった教育機会確保法により国の不登校対策の方針が変わり、「目的は社会的自立であり、必ずしも学校復帰にこだわらない考えに変わった」ことに希望を見せました。
1993年からオルタナティブ教育を実践してきた代々木高校の一色校長は、「映画に登場する子どもたちは実際に我々が携わった子どもたちそのもの」とし、「支援者だけでなく一般の人に現実を知ってもらえる良い機会」と感想を述べました。また、「遊ぶ友達はいても、本音で話し合える<本当の友達が欲しい>という子がいる。そうした関係が築きにくくなっている」と現在の子どもたちの様子を紹介。さらに「保護者会を開くと、未だに母親がもやもやしている。社会がまだ寛容でなく、多様性を認められない日本の社会性があるのでは」と教育現場から見た現状を指摘しました。
映画は北関東のとある街を舞台に、貧困やいじめ、虐待など、子どもたちを取り巻く社会の闇を鋭く描き出した作品で昨年2月より公開されました。映画「ワルボロ」などで知られる隅田靖さんが監督・脚本を務めています。