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2018年08月01日
東京都内の高等専修学校が中学校教員向け進学研究会(東京都千代田区)
東京都内の高等専修学校が中学校の教員向けに行う進学研究会「中専協夏季研究協議会」を8月1日(水)、東京都千代田区のアルカディア市ヶ谷・私学会館で行いました。高等専修学校の教育内容や魅力の理解促進を目的に行われ、今年で32回目を迎えます。この日、実際に高等専修学校に通う在校生たちが日々の学習成果を実演により発表しました。
専修学校は職業教育や実際生活に必要な能力の育成を目的とした学校で、商業や服飾、文化・教養など様々な分野を専門的に学べるのが特徴。専修学校のうち、中学卒業者が入学する高等課程を高等専修学校と呼び、多様な進学先の一つとなっています。
開会挨拶では、東京都中学校高等専修学校進路指導協議会の楠美利文会長やNPO高等専修教育支援協会の堀居英治理事長のほか、来賓として出席した文部科学省生涯学習政策局の廣野宏正(専修学校教育復興室)室長が挨拶を述べました。
第1部では、高等専修学校の概要について同協議会の清水信一副会長が講演を行いました。清水氏は高等専修学校を含めた中学校卒業後の多様な進路先を紹介したうえで、それぞれの違いについて詳しく解説。また、職業教育をメインとした高等専修学校には「様々な格差があるのではないか」との誤解があることについて、「学ぶ子どもたちに格差は何一つない」と強調。学費助成については国の就学支援金のほか、東京都では平成29年度から都独自の私立学校への助成制度が始まっており、これらには高等専修学校も対象に含まれています。修学後も、多くの学校が大学や短期大学への受験資格となる大学入学資格付与指定校の指定を受けていることや、就職においても高卒求人での就職が可能だと紹介しました。
また、清水氏は東京都内の高等専修学校は1学年定員が最大でも120名と「大規模校がない」ことを挙げ、「一人ひとりの生徒に目が行き届きやすい教育ができる」とメリットを紹介。生徒との距離が近い教育が可能となり、出口となる進路支援、発達障害のある生徒への職業教育や自立支援など、小規模校だからこそできることの豊富さを強調しました。
第2部では、各学校の在校生が日々の学習成果を実演によって紹介しました。江戸川区の東京スクールオブミュージック&ダンス専門学校は男女それぞれのグループがパフォーマンスを披露。前半は3人組の男子生徒が力強いダンスを披露すると、後半には同校が行うアイドルプロジェクト「SO.ON project」が活発な歌とダンスを披露しました。武蔵野市の二葉ファッションアカデミーは、7名の生徒が登場。ピンワークと呼ばれる一枚の布からピンだけでドレスを作り上げるというファッション技術を披露しました。新宿区の東放学園高等専修学校は、2名の男子生徒がそれぞれ歌とマジックを披露。参加した教員を巻き込んだトランプマジックでは流暢な語り口と器用なトリックで会場を沸かせ、歌ではミュージカル「ノートルダムの鐘」のテーマソング「僕の願い」を熱唱しました。
また映像による紹介も行われ、武蔵野市の武蔵野東高等専修学校は「陶芸」を、八王子市の大竹高等専修学校は「調理」の授業をそれぞれ紹介。荒川区の国際理容美容専門学校は、会場内でヘアメイクパフォーマンスを実演し、「昔と今」をテーマにヘアアレンジと着付けを披露しました。杉並区の野田鎌田杉並高等専修学校は、生徒2名と参加教員によるパソコン入力対決を実施。3分間の間にどれだけ文字を入力できるかを競い、見事1年生の男子生徒が勝利しました。
実演を披露した多くの生徒が、プロ顔負けの堂々としたパフォーマンスで会場を圧倒させました。なお、この日のプログラムでは、全体を通し、江戸川区の東京表現高等学院MIICAの女子生徒が司会を務めたほか、会場の映像撮影を東放学園高等専修学校の男子生徒2名が務めました。
講評を論じた東京都中学校高等専修学校進路指導協議会の楠美利文会長は、「出演した生徒の表情がとてもよく、楽しんでいることが伝わってきた。好きなことを学び、その先が見えていることで頑張れるのだと思った」と評価。そのうえで「身につけた知識や技術をどのように工夫し、活かしていけるかがこれからの時代には必要。これはAIにはできない人間らしい豊かな発想だと感じた」とメッセージを残しました。
参加した中学校の先生たちには、日々の専門教育の成果が生徒という生身の事例を通して間近に知れる貴重な研究会となった様子。
なお、高等専修学校についてより深く知れる機会として、8月4日(土)調布市、9月23日(日)府中市、12月8日(土)市ヶ谷で、保護者、生徒などが個別の学校から進学相談を受けられる「合同相談会」が実施されます。詳しくは下記サイトより。