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2023年03月28日
新しい学校の会 令和四年度教育シンポジウム「通信制高校生の社会参画―継続的支援の実現に向けて―」を開催
3月20日(月)、オンラインにて新しい学校の会(桃井隆良理事長、略称:新学会)が主催する令和四年度教育シンポジウムが開催されました。
開会挨拶では、鈴木康弘理事が「本日のシンポジウムがご参加の皆様の現場で抱える課題解決の一助となることを祈念いたします」と述べました。
次に、卒業生動向調査事例紹介では、第一学院高等学校副理事の竹下淳司氏がその背景と目的を説明。開校10年目にビジョンである『社会で活躍できる人づくり』のように、卒業生は果たして社会で活躍できているのか。また、教育機関として掲げたビジョンの実態を把握できているのかを知るために卒業生動向調査を始めたとし、「当校で学んだことが就職先や進学先などでどういった効果があるのか。卒業後に進路相談のニーズがあり、それに応えていく継続支援の必要性。この2つをキャリア支援の目的として行っています」と述べました。
また、第一学院高等学校キャリアサポートセンター室長の青山真理氏が、動向調査を基に在学中から卒業後の生徒に対するキャリア支援の取り組みについて説明し、「動向調査では、各キャンパスでは対応しきれない案件も出てきます。そうした時に感じるのは、卒業時に本人の希望と適性、方向性に合った第一志望に送り出す必要性です」と考えを伝えました。
青山氏に対して、質疑応答の時間も取られました。「連携している専門機関や内容、その期間はどうなっているのか」という質問に対して、「全国規模の就職となると当校には情報が少ないため、人材派遣会社や就職斡旋してくれる企業と連携し、キャリアカウンセリングなどで本人の適正を見抜いていただいています。また、就労移行支援とも連携して、自立に向けた支援をしています」と答えました。
次に、山口教雄事務局長より「第2回通信制高校卒業生アンケート調査結果報告」がなされました。同会では、加盟通信制高校13校の卒業生の進路状況調査(調査期間:2022年11月中旬~2023年2月中旬)を実施。第1回と同様に卒業後2年後と7年後の卒業生を対象に行い、4,023人からの回答が得られました。
第2回では、卒業時の進学先を、4年制大学・短大・専門学校・公共職業訓練校という4区分に分けて調査。このうち卒業時に、進路未決定、四年制大学進学、専門学校に進学した方に焦点を当てて報告がなされました。山口事務局長は「第1回、2回の調査を通して卒業生はカウンセリングや就労などの支援を求めていることが強く分かりました。しかし、この支援を高校の教職員に求めるのは限界があります。外部機関との提携などを考えていただくとよいと思います」と、調査をまとめました。
休憩をはさんで、桃井理事長が加盟校16校を紹介。うち9校の代表の先生方が自校やグループ校の特徴などを述べ、挨拶をしました。
続くパネルディスカッションでは、パネラーに岐阜大学教授・岐阜市立草潤中学校こころの校医・小児科医の加藤善一郎氏、家族支援ネット♪らるご♪代表・臨床心理士の福本早穂氏、文部科学省初等中等教育局児童生徒課生徒指導室生徒指導第一係係長の神崎拓真氏、厚生労働省社会・援護局地域福祉課専門官の松浦拓郎氏、学校法人鹿島学園鹿島学園高等学校理事長の大森伸一氏を迎え、日野公三理事司会の元、議論が行われました。それぞれの立場から、ひきこもり対策で必要なことは何か、現在の支援策と今後の対応、当事者の声などが話されました。
パネルディスカッションの後には、荒井裕司副理事長、一色真司副理事長、反町雄彦理事より講評が行われました。
会の最後には、小椋龍郎理事より閉会挨拶がなされ「不登校とひきこもりという実際には深く重なるものがありますが、この2つをテーマにシンポジウムとした例は存外少ないものです。それをこのような形で今日、取り扱わせていただけたのは大変重要なことであり、そして、今後も通信制高校が向き合っていくべき大きな役割があるのだと、改めて確認させていただいた会であったと思います」と述べました。