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学校法人 神戸セミナー
2023年07月27日
「社会で生きていくスキル」を身につけられる唯一無二の高等専修学校
7月に新刊『子どもが不登校になったら親はどうすればいいのか』(学びリンク)を著された喜多徹人さんに、自ら校長を務める2021年4月に開校した高等専修学校神戸セミナーについて本書にも通じるその特長を聞きました。
「社会で生きていくスキル」を学ぶ学校
高等専修学校神戸セミナーは、開校後今年度で3年目を迎えます。一般的に高等専修学校は美容、理容師、調理師、農業関係など特定の職業を学ぶ学校ですが、本校の場合は「社会で生きていくスキル」、人間関係を上手に構築するとか調整する、あるいは組織の中で自分はどういう立場でふるまう、ストレスを溜めずに組織でうまくやっていく、そういった大事な能力を具体的に身につけていく学校です。またもともとが予備校で併設されているので、大学受験を目指す人には最適です。それも大きな特長です。
ストレスを溜めない技術がある
レジリエンスという技術です。人は誰でも元気でいるときと、ないときとありますよね。全体で高いレベル、元気なほうが望まれる。好きなおばあちゃんが亡くなった、またペットが亡くなった。誰でも落ち込むときはあるんだけれど、落ち込み具合がそれほど深刻でなく回復できるのが望ましい。上手に開き直る方法とか、しんどいときは早めに休む、調子を崩したら、休んでも構わないよと教えます。ストレスを溜めない技術、そして人間関係をうまくやれたら社会でやっていけるのです。
コミュニケーション能力を高める具体的な方法
例えば、ハイキング、ソフトボール大会などの行事を通じて、その生徒がどう行動をしていたか、お弁当も一人で食べていたか、特定の人とずーっとしゃべっていたとか、などそういったことをカウンセラーたちが一人ひとりの状況を見て全員が記録します。そして3か月ごとに面談、カウンセリングをします。そしてイベントの状況を見た上で、これは楽しかったのか、楽しくないけど付き合っていたのか、一人でいることは嫌じゃなかったのか、そのあたりをどう思っていたかを生徒に聞きます。「一人でご飯食べて楽しかった」は問題ない。「ほんとは中に入りたかったがきっかけがなかった」「あのコミュニティができていて入りにくい」などの思いを聞きます。
次はこうやって話してみよう、とか、一方的に話しかけられてしんどかったら、「また今度一緒にいてね」と断って、後半は別の人といるとか、そういうことでぎくしゃくしないからいいんだよと言います。それでどうだった、声かけられたと聞くと、そういう作戦でいってもできるかできないかはスキルがあるから、情報を聞いて次はこうしようと作戦を練る。またできたかどうかを聞く。1,2年繰り返していくと、みなさんうまくなっていきます。これが人間関係です。
それから、神戸セミナーの先生は全員カウンセリングができます。私がスーパーバイザーを務めており、全カルテを見て私が指示する。だからスクールカウンセラーを置く必要がないのです。
目標は高くても落ち込まない技術
あとは進学校の不登校生で多いのですけど、こうありたい、こうなりたいという気持ちが強すぎて、その通りにいかないと、元気がなくなる、落ち込むというパターンが多いです。目標が高いのは全然問題ではないのですが、それを気楽にゲーム的にやれれば大丈夫。目標を設定することをどう考えるか。保護者様に多いのが、本人は落ち込みやすい性格だから、高い目標がうまくいかないと落ち込む。だから目標を下げさせようとか、あるいは目標に失敗したら成功させるように頑張ろうとかね。そこじゃない。高い目標はいいのだけれど、落ち込まないような技術をつけさせる。これが一番大事です。これができれば中学生ぐらい、思春期ぐらいまでに教えてあげるのが望ましい。真面目過ぎて、頑張りすぎてうまくいかなくて落ちこむという人がいるので、あとは何が起きても大きく構えて落ち込まないこと、少し落ち込んでも回復できること、困ったときには助けてくれる人が周りにちゃんといること、などこの辺りが身につくと人生は困らない。
不登校対応で大事なこと
今は集団が怖いけど、もともとはどうだった? 中1は? できていたよね、今は調子を崩しているんだよね。調子が戻れば、またできるよねという言い方が不登校対応で大事です。この子はこうだからこうだ。この子は勉強が嫌いだからどうこうではないようね。調子が戻ったら本来できることができるようになるし、やれることを増やしてあげるという視点も大事です。今勉強が手につかないけど、でも大学は行きたい。じゃあ、勉強ができるようになったらいいのにね。じゃあ、どうやったらいいかな?
あるいは、人と話すのが苦手とか、集団が苦手だとか、スポーツ系のイベントが苦手だとか、でも試合に出なくても、公園でもいいし。人とこういう雰囲気ならしゃべれるよね、こういうやり方だったらうまくいく、非常に親しくなってどんな人かわかったらしゃべれる、という状況が絶対あるんです。例外探しと我々は言います。じゃあ、あなたは人とはうまくしゃべられない、でもこういう条件ならしゃべられる、と自覚するだけで大きく変わるんです。
教育とは変化を起こすこと
自分は〇〇ができない、〇〇が苦手だとか、レッテル貼りですが、どうしても親や教員がやってしまう。この子は英語が苦手だ、そうじゃない。英語は中学の時のあの先生、あの授業、あの宿題の出し方でちょっとうまくいかなかったよね。うまくいかなかったことが1年続くと嫌になるよね。やり方と環境を変えたら、できるようになると思うけどなと、しゃべる。「教育とは変化を起こすことだ」と思っています。分類して評価することを私は教育だとは思っていません。その子をハッピーにする、その子がうまく生きていけるようにするのが教育だと思っています。そもそも私は教育とは思っておらず、元気にさせる支援、カウンセリングだと思っています。ラベルを貼ったり、評価したり、分類することではなくて、その人がどうすればやりやすいか、生きやすいか、そういうことを見つけていただいて、工夫すればいける、と思っていただく。うちの学校のイメージはこんな感じです。学校は幸せになるために行くところであって、人生が幸せになって生きていける、しんどいなあと思ったら、行かなければいい。変えたらいいんです。
最後にとにかく親が焦らなければ、大丈夫です。せっかく神戸セミナーに行ったのに、行けてない!みたいに焦って本人を責めたりするから、事態は良くならない。保護者さんが、私たちがお知らせする方針を理解してやっていただいたら大丈夫です。
▼喜多さんの書籍についてはコチラ
https://manabilink.co.jp/publication/detail_90.html