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新着情報

2023年12月15日

「安心感」を形成し、生徒の意欲を引き出す/足立東高等学校(東京都・全日制高校)

「学び直しに特化した全日制高校」

 

学校は好き。通えているけど、思うように学校生活を楽しめていない、勉強にも不安がある…。

そんな子どもたちが自分のペースで自信をつけ、さまざまな体験を通して学校生活を楽しんでいける、そんな全日制高校があります。

 

足立東高校は、「学び直し」に特化した学校。小・中学校の学習範囲の学び直しや基礎固めから始められる支援体制を整えており、東京都より「エンカレッジスクール」に指定されている全日制高校です。

「エンカレッジスクール」とは、小・中学校で可能性がありながら、頑張っても十分能力を発揮できなかった生徒のやる気を育て、頑張りを励まし、応援する全日制普通科の学校とされています。

 

「足立東高校」は1976年に創立され、2003年に東京都初のエンカレッジスクールに指定されました。エンカレッジスクールとして今年で21年目を迎え、多くの卒業生を送り出しています。

 

12月12日(火)、学びリンクは同校を取材。独自の学習支援体制や体験学習の様子を案内してもらいました。

 

 

 

少人数・個別指導で個々のペースを大切に

 

足立東高校の入試には学力検査はなく、生徒の主体性や熱意を重視します。成績もテストだけでなく、日々の学習活動が主体です。

 

生徒たちの一日は、毎朝10分間の朝学習「スタディガイダンス」からスタート。学習教材「マナトレ」を活用し、小・中学校段階からの学び直しを行います。

1年生の国語・数学・英語・地理歴史・公民の授業では30分授業を導入。高校での学習に徐々に慣れていけるよう工夫がなされています。

2クラスを4つの習熟度段階に分けており、少ないクラスでは5人程度。個々に応じた学習サポートの体制があります。

 

▲先生からの問いかけにも積極的に発言する生徒たち。先生と生徒の距離の近さを感じさせます。

 

サポートの手厚さは普段のホームルームクラスでも同様。「2人担任制」を敷き、1クラス約30人につき2人の担任が指導にあたり、家庭との連携や日々の学習サポートに注力しています。

放課後には、「マナビバ」という希望制の補習講座が開講。元教員や現役大学生が個別で指導にあたります。

 

▲毎週水曜に開室される「ひがしカフェ」。ユースソーシャルワーカー(YSW)と話をしたり、ゲームをしたり思い思いに過ごせる場で、継続的に利用する生徒も多いそう。

 

 

40以上の選べる体験学習

「好き」や得意が見つかるきっかけに

 

午後には生徒たちがそれぞれ選択できる体験学習が行われます。この日見学させてもらっただけでも、琴や和太鼓演奏、書道、囲碁など、ジャンルも多彩。生徒たちは講師や友達と和やかに会話をかわしながら、それぞれの活動にうちこんでいました。

 

 

 

 

 

▲「篆刻(てんこく)」の授業風景。石に自分の名前の漢字を掘り、ハンコを制作します。

 

▲「茶道」の授業の様子。教室全体が静かで心地良い緊張感に包まれていました。

 

▲楽しそうな笑い声が聞こえてきた体育館では「ニュースポーツ」のボッチャが行われており、生徒同士で応援しあう姿も見られました。

 

▲校内には、生徒たちが手掛けた成果物や力作がずらり。

 

多彩な体験ができる環境は、生徒の進路形成にも好影響があるそう。体験学習のほか、職業体験や資格取得に向けての勉強ができる授業も充実。進路指導としてはキャリアガイダンスが1年次より毎週開講されています。これらの指導体制により、進路決定率は9割を超えています。

 

副校長の都倉里利先生によると、「体験学習などをきっかけに、将来就きたい仕事が見つかったという生徒もいる」といいます。

 

「比較的気軽にいろいろなことに挑戦できるのも、体験学習のメリット。自分の向き・不向きを理解することもできるので、進路選びや将来像の形成にも役立っていると思います」(都倉先生)

 

▲「入学してから自分の好きなことや得意分野に気づき、才能を花開かせる生徒も多い」(都倉先生)。興味のあることに熱中できる環境も、学校生活に彩りを与えているようです。

 

 

先生たちが笑顔で見守ってくれる

形成されていく「安心感」

 

体験学習の講師には、囲碁将棋や琴など、地域で活躍するその分野のプロが駆けつけるといいます。また、普通科目を担当する教員が体験学習を兼任するケースもあり、この日行われていた授業では、生徒に負けないほどのイキイキとした表情で指導にあたる先生たちの姿が印象的でした。

 

また、この日は「演劇」の体験学習にて発表会が行われており、同校校長・平田誠一先生も客席で生徒たちの熱演を見守っていました。

授業の合間には、平田先生と生徒がリラックスした様子で会話をかわす姿も。普段から先生たちが生徒一人ひとりをあたたかく見守っていることがうかがえます。

 

自身の生まれも育ちも足立区だという平田先生は、足立区という土地・人柄にも愛着があるといい「保護者・地域の方々に支えられてここまでこれたと思います」と感謝の思いを吐露。「これからもみなさまのご協力を受けながら、しっかりと生活指導や学び直しを行い、確実に生徒たちを卒業まで導いていくのが私たちの役目」と力を込めました。

 

▲特別支援学校での指導経験もある平田先生。平田先生をたずねて校長室へ遊びに来る在校生や卒業生も多いそう。

 

それぞれが自分に合った居場所を見つけ、楽しい学校生活をおくっている生徒たち。

その様子について、都倉先生は「安心感」が背景にあると語ります。

 

「これまで学校には行けていても、思うように楽しめなかったり、自信があまりなかったという生徒が多いですが、当校に入学して、安心して過ごせる環境を得ているのかなと感じます。ここでなら安心して勉強できる、分からないところがあっても大丈夫。そういった安心感が生まれることで、体験学習や行事など、いろいろな挑戦ができているのではないかと感じます」(都倉先生)

 

学習ペースや成長のスピードは、人それぞれ違うもの。学校生活を楽しめるきっかけもまた、人それぞれです。既存の枠に当てはめていくのではなく、一人ひとりのペースや個性を大切にしている姿勢が随所にうかがえました。

 

(取材・文/学びリンク編集部 小野ひなた)

 

▼東京都立足立東高等学校のHPはこちら▼

https://www.metro.ed.jp/adachihigashi-h/

 

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