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2024年05月25日
卒業生ボランティア(2)伊藤樹來さん 通信制高校合同相談会
伊藤樹來(いとう じゅらい)さん
北海道出身・名古屋在住
21歳・大学3年生
学びリンク主催の「通信制高校合同相談会」(全国40会場以上)では、各地域の通信制高校在校生・卒業生による「在校生ボランティア」「卒業生ボランティア」が運営に携わってくれています。運営に協力しつつ、来場者との対話を通して、自身の経験などを伝えています。会場では実際にどんなことをしているのか。今回は、愛知・名古屋の会場で運営に携わる伊藤樹來さんにお話を伺いました。(聞き手:学びリンク 小野ひなた)
体験談が「気持ちの整理」になる
――いつから卒業生ボランティアをやっていますか?
3年前くらいからですね。
実は、卒業生ボランティアをやる前から学びリンクの合同相談会には関わったことがあったんです。自分が卒業した通信制高校が合同相談会に出展していて、そのお手伝いスタッフとして来ていたのが最初でした。それをきっかけに、学びリンクの社員の方から卒業生ボランティアのお誘いをいただいたんです。それが大学1年生のときでした。
――普段は何をしていますか?
今は大学を1年間休学していて、今年の4月から復学します。休学中のここ最近はアルバイトを二つ掛け持ちしていて、スーパーでのアルバイトと、卒業した通信制高校で「チューター」をしています。チューターは主に先生の授業の補助的な立ち位置で、つまずいている子のフォローに入ったり、コミュニケーションをとったりしています。
――主にどの会場に参加していますか? 相談会当日は主にどんなことをしていますか?
名古屋の会場に参加しています。
当日は、会場準備や誘導を中心にやっています。開場前に荷物を運んだり、開場後は会場内を巡回して、混雑状況を見つつブースの椅子を補充したり、来場者の案内をしたりしています。
――通信制高校の卒業生として、ご自身の体験談(※)も話されていますね。体験談では、どんなことを話していますか?
サッカーをやっていてプロを目指していたものの、それをあきらめたこと、そこから通信制高校へ転校したこと、いまの休学中の生活についてなどを話しています。
初めて卒業生ボランティアとして参加したときから任されていますので、これも3年くらいやっていることになりますね。…時がたつのって早いですね!
※合同相談会の「通信制高校のしくみ講演」中に行われる「在校生・卒業生による体験談」。講演者・山口教雄との対談形式で、高校進学前の状況や実際の学校生活、卒業後の現在のことなどが話される。
――長いようであっという間ですよね。3年間体験談を話してこられて、ご自身のなかで変化したことなどはありますか?
最初はド緊張でした(笑)。それもあって、最初の頃はあまり「自分の歴史を人にうまく伝えよう」とまで思える余裕がなかった気がします。
でも、いまは結構慣れてきましたね。「こういう例もあるんだ」って納得してもらえるよう、きちんと伝わるように考えながら話せるようになってきた気がします。
例えば、過去荒れてたこととか、辛かったことも話すんですけど、あまり重くなりすぎないように意識しています。ちょっと話の中に「ボケ」を入れてみたり…。それを受けて来場者の方が笑ってくれることもあるので、やった! って思います。
あと、自分の過去を振り返って言葉にすることで、これまでやってきたことや気持ちを整理することができている気がするんです。今後どうしていくかを考えるきっかけにもなっていますね。
「中立点に立ち会っている」チューターとの相乗効果も
――伊藤さんは、来場者の方に声をかけられていることもよくありますね。どんなことを話されていますか? 伊藤さんとお話されて、保護者の方はどんな反応をされますか?
通信制高校は自由な時間がたくさんあるので、その時間をどう使っていたかとか、サッカーをやめた後どうだったか、子どもに対して親はどう対応したらいいのか、といったことを聞かれます。
自分の場合、親が見守ってくれて自分の決断を尊重してくれたことがありがたかったので、そういったことをお伝えしています。
お話していて、泣かれる方もいました。やっぱり、お子さんだけでなく、親御さんも辛くて不安な人が多いのかなと感じます。
――そういった方が、伊藤さんの話に触れて得ていただけるものもあるかと思います。伊藤さん自身がやりがいを感じる瞬間などはありますか?
この場に来てくださっている方々って、人生の選択の場面と言うか、人生が変わるかもしれないきっかけの「中立点」にいるのかなと思うんです。その「中立点」に、自分は立ち会っているわけなんですよね。
来場者の方に話しかけられると、やっぱり何かを得ようとしてくれているんだなと感じます。そこで自分が何かしら人に影響を与えられているのかなと思うと、やりがいを感じますね。
――来場者の方の大事な時間に立ち会えているという実感を得てくれているんですね。卒業生ボランティアの経験が他の仕事に活きること、もしくは今後活かせそうな場面はありますか?
たくさんの人の前で話すような経験は他ではなかなかできないので、体験談を話す機会は貴重だなと思っています。
それに、来場者の方々も本当に多様なので、色々な方と関われていることで自分の視野も広がりましたし、色々な人とコミュニケーションをうまく取っていけるようになってきている気がします。それはチューターの仕事にも活きていますし、この先の将来にも役に立つかなと思っています。
あと、来場者の方とお話するとき、チューターとしての目線も織り交ぜて、自分の例だけでなく他の子の例も話せることがあるんです。
だから、チューターと卒業生ボランティア、両方にめっちゃ相乗効果があるんですよ。
自分、「アド(=アドバンテージ)」持ってるかもなって、自信にもなっています。
――双方に良い影響を見出してくれているんですね。私たちも嬉しいです! それでは、最後に合同相談会に来場される方々にメッセージをお願いします。
合同相談会は、学校はもちろん、実際の在校生や卒業生の子と話せる絶好の機会だと思います。やっぱり「実際どうなのか」を直接見て聞くことが一番いいと思うので、実際に学校の先生や在校生、卒業生と話してみてもらいたいです。
親と子で感じ方が違うとか、そういう「差」もきっとあると思うので、そこも話し合えたらいいのかなと思います。考えの差を知って、そこから調和というか、合わせつつ決めていけたらいいんじゃないかなと思います。
――ありがとうございました!
※年齢・学年などは取材当時のものです
▼在校生・卒業生ボランティア▼
学びリンク「通信制高校 合同相談会」では、実施会場の各地域の通信制高校在校生や卒業生がボランティアとして運営に携わってくれています。自身の経験や学校生活などをお話できますので、ご来場された方はぜひお気軽に声をかけて頂ければと思います。