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2024年11月01日

第3回 卒業生支援があったほうがいいでしょ?◇◇通信制高校人気! 実際どんな高校が人気なの?(3回連載)

 

◎通信制全体で進路未定率を下げる

このシリーズ1回目で、偏差値によらない学校選択のできる通信制高校は比較的自由に自分に合った学校を選べます。やりたいことがあればそれに合わせて、それがないならないなりに選べます。と、書きました。
その特徴のおかげで、高校生11人に1人が通信制高校生となった現状があります。

学校選びをはじめ、就職先選び、恋人選び…。自分が選んだことがそのまま実現する機会は、案外少ないものです。
通信制高校選びはその数少ないチャンスです。しかも目の前の多様な選択肢のなかから自分に合った学校を選べます。

だから、先のことまでは目が届かないかもしれません。
「ふたつよいことさてないものよ」と言われます。良いことが二つ重なることはほとんどないことです。
“お給料が高くてやりがいがあって”しかも“仕事がすごく楽チン”。こういう状況は滅多にないです。

通信制高校もこれと同じです。入り口は思い通りに選べても、出口から先は思い通りとはいかない場合もあります。
通信制高校の出口以後の卒業時、卒業後には懸念されるものがあります。それは主に次の3点です。

① 卒業時「進路未定」率の高さ
② 大学、専門学校進学者の退学率の高さ
③ ①のその後及び②の退学後の「何もしていない」率の高さ
※「何もしていない」とは“働く”や“学ぶ”手前でどうすればいいのか分からない状態

ここで少し注意してもらいたいのは、①卒業時「進路未定」率は文部科学省が学校基本調査として公表しているので誰でもわかります。一方、②大学、専門学校進学者の退学率は、独自に調べないとわかりません。

加えて学校基本調査は、“悉皆調査”しっかいちょうさといい国内全ての学校を対象としています。つまり、全ての学校が文部科学省に実績を報告します。もちろん、通信制高校も全てです。

この場合、自校の実績を全教職員が共有する場合もあり進路未定率が高ければなんとか下げようと改善に努めるはずです。現実に通信制高校の進路未定率は、この10年間で10ポイント改善しました。進路未定率は2012年度の41.8%から22年度31.5%になりました。

この改善に最も寄与したのは大学進学率の向上です。12年度16.5%が22年度は24.1%と8ポイント近く上がりました。
通信制高校を検討する進学当事者、保護者、学校関係者の多くが二の足を踏んだ「通信制を選んだら大学に行けない!?」というイメージはほぼ払拭されています。

これが今の“通信制高校人気”の一つの要因ともなっています。「通信でもけっこういい大学に行っている」と期待されるようになりました。
通信制高校1校1校が自分事として進路未定率の改善に取り組んだ結果が全体の進路未定率を下げ、大学進学率を上げています。




◎卒業生支援が「募集効果」につながるように

では、通信制高校卒業後はどうでしょうか。
こちらは全てが「自己責任」です。
そもそも卒業後のOB・OGたちがどうなっているかを学校基本調査ほどではないにしても調べている通信制高校は一部を除きありません。

私が事務局長を務めている新しい学校の会(通信制高校16校加盟)は、過去3年間にわたり2千人規模以上の卒業生アンケート調査を実施して、下記にみられるような卒業生支援が必要な実態を明らかにしています。
しかし、実際の卒業生支援は加盟校のなかでも1校を除き行われていません。

通信制高校での卒業生支援が必要な実態は、このコラムをはじめ新しい学校の会機関誌や学びリンクの媒体誌で発表していますが、私の力不足は否めませんが反応はほとんどありません。
背景を考えると、まず通信制高校関係者がこの実態を自分事として見ていないからです。新しい学校の会の調査結果も他人事です。

つまり、実態が明らかになっていても通信制高校関係者は“見て見ぬふり”を決められます。卒業時進路未定率を下げようと1校1校が努め、結果的に通信制高校全体が改善方向に向かっているような力には今のところなっていません。

卒業時進路未定率が下がった背景には、有力校を中心に進路結果を発表するようになったことも大きな効果でした。「卒業率96%、進路決定率91%」など実績を誇ることが募集効果にもつながりました。そういう学校は、その実績を誇るだけの内容を持っています。

私は、卒業生支援もそれを実施することで募集効果にならないものかと思っています。
「卒業後も相談窓口あります!」というフレーズが募集効果につながるように、まずは来年度の学びリンク「通信制高校・サポート校合同相談会」から工夫しようと思います。

1校1校の卒業生支援の動きが、やがて通信制高校全体に広がり課題を改善してゆく。通信制高校が人気校であり続けるためにはその方向に進んでいくことが望まれます。







※通信制高校生の卒業後の状況は『通信制高校卒業後はどうなっているの?』(6回連載)を参照してください


今回は、『卒業生支援があったほうがいいでしょ?』についてご説明しました。いかがだったでしょうか?

次回からは、新シリーズ「100人に聞いた通信制高校のアレコレ」(6回連載)がスタートします。
新シリーズもよろしくお願いします!

 

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