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北豊島高等学校
2024年12月23日
「先生」と呼ばれる一日 「保育体験」で育った主体性(東京都・通信制高校)
11月15日(金)、北豊島高等学校(東京都荒川区)がオリジナルセミナーで「保育体験」を実施しました。
オリジナルセミナーは、“主体的に学ぶ姿勢を身につけること”と“進路選択への考察を深めること”を目的とした同校独自の講座です。体験的・交流的な活動を通して、普段の学習とは違った学びを得られる機会となっています。
中でも「保育体験」は、オリジナルセミナーの中でも人気の高い講座だといい、進路選択の際に保育系を選ぶ生徒も多いそう。
この日、生徒たちは北豊島幼稚園で一日園児たちと過ごし、幼稚園の先生方の仕事を間近で見る貴重な体験ができました。
はじめに、園長先生からこの日の流れや注意事項を聞きました。園長先生は最後に「笑顔でいっぱい遊んであげてください」と想いを伝え、生徒たちは深くうなずきました。
年少から年長の5つのクラスに分かれ、いよいよ保育体験が始まりました。
室内遊びの際には、10人近くの園児と一緒にけん玉をする生徒や、ブロック遊びに誘われる生徒もいました。それぞれの生徒たちが「すごいねえ!」「かっこいいね」と園児に言葉をかけ、笑顔を引き出していました。
絵本の読み聞かせを任された生徒もおり、優しい声で絵本を読み聞かせました。読み終わった後に、園児たちに一斉に「せんせいありがとう」とお礼を言われ、「緊張したけど、みんな聞いてくれてありがとう」と顔をほころばせました。
この日はクラスごとに音楽発表会の練習があり、体育館へ移動して練習の様子を見学しました。
最初から最後まで通して発表を終えた園児たちへ、生徒一人ひとりがコメントをしました。「とても元気がよくて、かわいらしい発表でした。本番も頑張ってください」「一生懸命練習してきたのがよくわかり、感動しました」といった感想を聞いて、園児たちはとても嬉しそうな様子でした。
シャボン玉アートの時間には、色のついたシャボン玉を画用紙に吹き付ける園児を応援しました。ある生徒は、「一生懸命インクを吹き付ける姿を見て、作品が出来上がった時は本当に感動しました!」と高揚した気持ちを教えてくれました。
中には、順番待ちをしている静かな園児に優しく話しかける生徒もおり、引率の海野教諭が「こんなに楽しそうな彼女は初めて見ました」と驚く場面も。生徒の新たな一面も引き出されたようです。
その後はクラスごとに昼食をとり、外遊びをして、降園時間まで思い切り園児たちと遊びました。
園児たちを見送った後、生徒たちは朝と同じように集まって、園長先生とクラス担任の先生1名の前で一人ずつ感想を述べ、自発的にたくさんの質問をしました。
「働く中で楽しい時、つらい時はどんな時ですか?」「発表会の演目やテーマはどうやって決めていますか?」「園児と接する時に意識していることは何ですか?」「園児たちにはどんな大人になってほしいですか?」など、それぞれの視点から感じた疑問は多種多様でした。
「保育系の進路を考えている」「まだ具体的には考えていないけれど、子どもが好きなので」「色々経験しておきたくて、興味のわいたオリジナルセミナーにはできるだけ参加したいから」など、今回参加した理由も様々だった生徒たち。
始まる前は緊張の面持ちだった生徒たちに、終えた後の感想を聞くと、「子どもたちが元気よくこちらに来るのでびっくりしました! とても嬉しいです!」「思っていた以上に楽しいです。来年もぜひ参加したいです」と弾けんばかりの笑顔を見せました。
普段は生徒として過ごす彼ら彼女らにとって、幼稚園の先生や園児から「先生」と呼ばれる経験は貴重なものだったのではないでしょうか。始まる前は堅い表情だった生徒たちですが、全力で園児に向き合ううちに緊張は解け、自ら考える姿勢が育っていたようです。
オリジナルセミナーでは、「保育体験」の他にも、大学や専門学校の担当者からお話を聞ける「オンライン進路ガイダンス」や「心理学セミナー」、「デザインワークショップ」なども開催されています。
今回の「保育体験」でも、生徒たちは将来の糧となる体験ができ、充実した一日となりました。