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新着情報

ワオ高等学校

2025年03月10日

「人と違うことを誇りに」教養を胸に旅立つ卒業生/ワオ高等学校(岡山県/通信制高校)

3月8日(土)、ワオ高校(本校:岡山県岡山市)は卒業式を挙行。能楽堂ホールtenjin9(岡山県岡山市)とオンラインでの同時開催となり、会場およびバーチャル空間に卒業生、在校生、保護者が集まりました。

 

 

卒業生一人ひとりが呼名され、会場参加の卒業生は元気よく返事をし、平田強学校長から卒業証書を受け取りました。平田校長は一人ひとりに「おめでとう」と優しく声をかけ、丁寧に証書を手渡していました。

 

オンラインでの参加者もバーチャル空間上で拍手などリアクションを投げかけ、リアル会場・オンライン会場が一体となっていました。

 

式辞では、平田強学校長が今回の卒業式がワオ高校にとって2回目であることに触れ「みなさんが2期生として卒業し、ワオ高の歴史をこうしてつなげてくれること、勇気ある一歩を踏み出してくれたことに感謝したい」と話しました。

 

 

そして、ワオ高校で重きを置いている「教養」について、次のように述べました。

 

「みなさんがワオ高生として学んできた教養とは、決まった目的のために身に付けるものではなく、少しずつ蓄積していくものだと思います。教養とは部品であり、それはいつ、どのように役に立つかはわからない。しかし、ある日ひょんなことで役立つはずです。やりたいことが決まった時、答えのない課題にぶつかった時、教養という手元の部品を集め、そこに自分なりのアイデアという最後のピースをはめて、何かを生みだすということにつなげてほしい。これらのプロセスが学ぶということだと思います。その積み重ねが、自分ならではの一味違ったふるまいにつながるはずです」

 

続いて、西澤昭男理事長が動画でメッセージを寄せました。

「卒業生のみなさんの進路を見ると、大学への進学が多いですが、専門学校や留学、そして自ら事業を始める方など、様々ですね。ワオ高での学びを土台にして羽ばたいてくれることを強く実感しています」

 

そして、門出にあたり「人と比べるのではなく、自分の能力を活かしてほしい」と述べました。

「ワオ高校の母体のグループは、能開センターAxisという塾を50年にわたって運営してきました。従来の塾はいわゆる偏差値を基準に他者と比較をし続け、大学もランキングが決められています。この構造は100年以上変わっていません。かつて野球で活躍したイチロー選手は、アメリカで自分より体格もパワーも勝る選手たちがいる中、足の速さや守備といった自分だけの強みを発揮し、大リーグの殿堂入りを果たしました。ワオ高校の生徒はもちろん、人はみんな色々な過程を経て今があります。これからの時代は、それぞれの能力や良いところを、いかに発揮していくかが大事です。どんな社会に飛び出していっても、人と比べるのではなく、自分の能力をぜひ生かしていってほしい」

 

送辞を読んだ在校生は、全日制高校からワオ高校に転入したという当初を振り返り、先輩への感謝の思いを話しました。

「通信制高校もワオ高校も、正直得体が知れず不安でした。でも、最初のスクーリングの際に先輩たちがあたたかく迎えてくれたことで、すぐに安心できたことを覚えています。文化祭では実行委員長をつとめたものの、うまくまとめられず悩んでいた時、先輩方が手を差し伸べてくれました。事前準備やポスター制作、当日いかに盛り上げていくかなど、ご自身の経験に基づいたアドバイスをたくさんくれました。会議はほとんどオンラインで実際に会っていないのにもかかわらず、不思議とたくさんの時間を先輩たちと過ごせたと感じます」

 

 

そして、バンド・サカナクションの山口一郎氏の「孤独じゃない、孤高だ」という言葉を引用し、「孤独とは寂しさを表しますが、孤高とは他者に流されず自らの道を歩むこと。今後の人生で、周りから理解されずに苦しむこともあるかもしれませんが、それは孤独ではなく孤高であって、誰も乗り越えられなかった壁を乗り越えようとしているのだと思ってほしい。自分の道を信じて突き進んでください」と卒業生を激励しました。

 

答辞を読んだ卒業生は、「戸惑いが大きかった」という入学当初からの成長について語りました。

「通信制高校もバーチャルキャンパスも、全てが目新しく、最初は戸惑っていましたが、自分の考えを言葉にして伝える機会をたくさん与えていただきました。文化祭では、事前準備から運営までみんなで取り組み大いに盛り上げることができ、部活動ではそれぞれが好きなことに熱中し、スクーリングでは対面でしか味わえない交流を深めることもできました。教養探究の授業では新たな知識や視点を学び、自分の価値観を広げることができました」

 

そして、「先生や保護者のみなさんは、一風変わったように見える通信制高校進学という私たちの選択を信じ、背中を押して見守ってくれました。困難に直面したときも、先生方が手を差し伸べてくれ、私以上に真剣に悩んで支えてくれました」と周囲への感謝も述べました。

 

 

最後に、ワオ高で得た「自由」について、哲学者メルロ=ポンティの「人間とはあり得るを目がける存在である」という言葉に触れ、力強く決意を述べました。

「在校生のみなさんには、ワオ高らしい自由な環境のもと、自分の可能性を信じて仲間と挑戦し、学びと経験を活かしてそれぞれの道を歩んでほしい。そして、自由であるがゆえ、自らの選択によって未来を切り開いていくという責任が伴います。私たちもこれまでの経験を糧に、将来驚くほどの変化を遂げた姿を先生方に見せられるよう成長していきたい」

 

この日寄せられた式辞、送辞、答辞には「人と違うことを誇っていい」「自分を信じて」といったメッセージがたくさん含まれていました。それぞれの個性を尊重するワオ高校の教育が、学校全体に浸透していることがうかがえます。

 

卒業生たちは、在学中に身に付けた「教養」を胸に、それぞれの道へ旅立っていきます。

ワオ高での日々やこの日受け取ったメッセージを大切に、自らの個性や選択を信じて力強く歩んでいけることでしょう。

 

(取材・文/学びリンク編集部 小野ひなた)

 

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