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N高等学校・S高等学校・R高等学校
2025年09月30日
自由民主党総裁選の全候補者とN高グループの生徒が公開討論!/N高グループ(全国・通信制高校)
9月28日(日)、自由民主党総裁選に出馬する全候補者と、学校法人角川ドワンゴ学園が運営するN高等学校・S高等学校・R高等学校(総称、N高グループ)に在籍する生徒による「総裁候補vs中高生『日本の未来』討論会」(主催:ニコニコ)が開催されました。
▲写真提供:N高等学校・S高等学校・R高等学校
N高グループでは、主権者教育の一環として、特定の主義主張を学ぶのではなく、社会問題や課題について自分の力で調べ、考えられるようになることを目的とした「N高グループ政治部」が活動しています。
当日は、N高グループ政治部の部員をはじめ、オンラインとリアル会場で40名の生徒が参加。高校生ならではの視点から、日々の生活や将来に関するさまざまなテーマを生徒たちが候補者に問いかけました。国会議員顔負けの質問をする生徒たちの姿に、候補者と視聴者から驚きの声が上がる場面もありました。
自由民主党の総裁選に立候補しているのは、小林鷹之氏、茂木敏充氏、林芳正氏、高市早苗氏、小泉進次郎氏(届け出順)の5名。司会は、夏野剛理事が務めました。
最初の問いは、「候補者が掲げる日本のビジョンについて」。代表者から、①中高生時代に夢中になっていたこと、②短期的な補助だけでなく、若者世代の負担を増やさずに生活を安定させるための長期的なビジョンと具体的な政策についての2点が候補者に投げかけられました。
中高生時代は、バスケットボール部の活動に熱中したという小林氏は、日本のビジョンについて「世界をリードする日本を作りたい」と話し、「『ジャパン・アズ・ナンバーワン』と言われるくらい経済に勢いがあって、どの国も日本に憧れていた時代の勢いをもう一度取り戻したい。それが、結局のところ社会保障にも影響すると思います。そのために、日本が世界と勝負できる産業を作り、民間だけでなく国がお金を出して国家戦略として経済成長できるように盛り上げていきたい」と思いを述べました。
▲写真提供:N高等学校・S高等学校・R高等学校
その後、日本のビジョンについて、教育政策と外交政策の2つのブロックでさらに質問。
教育政策に関しては、「若者が極端な意見や感情的な主張に惑わされることなく、事実に基づいて政策を評価・判断する能力を身につけるには、教育としてどのような手段を用いればよいか」という質問が投げかけられました。
林氏は「ヨーロッパには、選挙の時にマニュフェストを実行した際の財政状況を示した資料が有権者に情報として与えられる国があります。私も日本で、政府とは別に推計を出す財政推計機関というのを超党派で作ろうと動いているところです。こうしていくつかの情報がある中で政策を比較できるようになれば良いと思います」と伝えました。
▲写真提供:N高等学校・S高等学校・R高等学校
高市氏は、「いろいろな情報が飛び交う現在において、情報リテラシー教育はもっと充実させなければならないと思います。みなさんにも一つの情報に触れた時に、同じ情報でも他に案件がないか見比べてほしいですし、出典がどこかも確認してほしい。また、事業者側にもそういったものを明示してもらえるような政治をしていきたいと思います」と考えを述べました。
▲写真提供:N高等学校・S高等学校・R高等学校
外交政策については、「中国と関係を深めるべきなのか、アメリカだけに集中するべきなのか、どちらがよいと考えているか」という質問がなされました。
茂木氏は、「中国は、習近平国家主席の意思でほとんどのことが決まる」といい、「今は、アメリカとの関税で日本に近寄ってきている側面もありますが、一方で尖閣諸島問題など、国際ルールを守らない部分が中国にはあります。対応すべきところは対応して、協力できるところは協力しながら懸案事項を解決していく。未来志向の関係を作れればと思っています」と話しました。
▲写真提供:N高等学校・S高等学校・R高等学校
小泉氏は、「自前の防衛力を整備し、経済力を強くすることが外交基盤になる」とし、その上で「日米関係がゆるぎないものだと世界に見せつけることは、大きな抑止になります。日米でのサプライチェーンを構築し、しっかりと展開することでm日中関係も安定していくと思います」と述べました。
▲写真提供:N高等学校・S高等学校・R高等学校
その後、候補者5名から生徒たちに質問が投げかけられ、茂木氏は「N高グループは、非常にユニークな選択肢ができる教育をしているが、どうしてN高グループを選んだのか」と質問を投げかけました。
生徒からは、「選択肢の母数が他の高校と違います。自分から行動を起こせば、ほとんどなんでもできてしまう。そういったことを中学校でできなかった原動力が入学のきっかけになりました」と述べました。これに対し、茂木氏は「人生100年時代では、いろんなキャリアパスが必要だと思う。65歳過ぎても、80歳になってもいろいろな形で社会に貢献できるよう、選択肢の多い社会を作っていきます」と思いを伝えました。
次に、候補者を直接指名しての質疑応答もなされ、林氏には「短期間で総理が後退すると、中長期的な政策の実現が難しくなるが、自身は長期政権を目指すのか」という質問がなされました。
▲写真提供:N高等学校・S高等学校・R高等学校
これに対し林氏は、「長期政権でないとできないことがある」といい、安倍政権時代に農林水産大臣を担当した際の経験を踏まえて「政権が長く続くという前提があるからこそ、TPPの交渉や農協改革ができたので、自分が総理になったらある程度の期間はやり続ける必要があると思っています」と考えを述べました。
また、小泉氏には牧島かれん元デジタル相の事務所が陣営関係者に小泉氏の会見動画に好意的なコメントを投稿するように呼びかけた“ステマ要請”に関して、厳しい質問がなされる場面も。小泉氏は、「最終的には私の責任」と述べ、「今後、二度とこういったことが無いようにしっかりと陣営内で徹底して再発防止に努めたいと思います」と話しました。
最後に、再度候補者全員に対して質問がなされました。ある生徒からは、社会保障費や防衛費の増大、ガソリンの暫定税率の廃止、給付付き税額控除など恒久的な財源を必要とする政策が出ていることに対して、財政と社会保障の持続性について不安が訴えられました。
▲写真提供:N高等学校・S高等学校・R高等学校
これに対し高市氏は、「財政運営に必要なのは、支出規模そのものではなく持続可能性」だとし、「名目成長率が国債金利を上回る状態を作っていけば、債務残高対GDP比で自然に安定するので、財政は持続可能です。そのため、成長を実現してこそ、合理的な財政健全化ができると考えています」と述べました。
さらに、英語で「なぜ総理大臣になりたいのか。いつ総理大臣になることを決めたのか」という質問も。茂木氏、林氏、高市氏が英語で応える中、日本語で答えた小林氏は「2012年に国会議員になった時から、いつかこの国のかじ取りを担える政治家になりたいという思いでこれまでやってきた」といい、「国会議員になったのは、世界の中で日本の存在感が低下していることに危機感を抱いたからです。だからもう一度世界の真ん中に日本を立たせたいという思いで戦っています」と伝えました。
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自民党の総裁選は10月4日(日)投開票です。
(取材・文/学びリンク編集部 片山実紀)