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2026年02月16日
第1回 大学進学が進路のトップに ◇◇「通信制高校の多様な進路指導を考える」(3回連載)
◎大学受験は“年内入試”主流に
2月から春シーズンの通信制高校合同相談会を始めました。学びリンクの相談会は、通信制高校の在校生・卒業生がボランティアスタッフとして運営を支えてくれています。「体験談を聴く会」というコーナーでは、学校生活の様子も話してくれます。
偶然ですが、そのうち何人かは高3生でした。しかも、大学進学コースや大学進学重視のサポート校の高3生でした。「高3で2月」と言えば、大学受験する人ならかつてはまさにピーク時期でした。
“でした”と過去形とするのは大学受験は様変わりしているからです。いわゆる年内入試(総合型選抜、学校推薦型選抜など年内に合否が判定する入試)で大学進学が決まる受験生が増えています。入試形態別に見ると私立大学で61%、公立大学31%、国立大学19%が年内入試で入学しています(24年度、文部科学省調べ)。
通信制高校関連でも、大学志望校選びの段階からこの年内入試にターゲットを合わせた対策を立てる学校も増えています。
前述の体験談を話してくれた高3生も年内入試で大学合格を勝ち取ったことが会話の途中でわかり来場者の皆さんから拍手をもらい嬉しそうでした。
一方、通信制高校全体でも大学進学者が増加しています。文部科学省が2025年末に発表した統計では、通信制高校から大学への進学率が過去最高の29%になりました。
これは大学進学率が上がっているという面と同時にもう一つの意味があります。
図1で見てもらうように従来通信制高校卒業時に進路比率のトップになっていた「進路未定」を初めて大学進学率が超えました。

◎進路決定は在学中最大の“経験”
「進路決定は生徒にとって在学中最大の“経験”になる」と私は思っているので進路未定率が下がる傾向にあるのはたいへん良いことです。
一方、これまでこのコラムでも伝えてきたように通信制高校卒業後の進路のなかで懸念される事態もあります。
この懸念事態とは、感覚的なものではなく私が事務局長を務めている新しい学校の会(大森伸一理事長)でこれまで5回に渡り16,167人の通信制高校卒業生の協力により行ってきた通信制高校卒業生アンケート調査の結果からです。この調査結果を背景に、通信制高校卒業時進路未定者を支援するための「ミライステップ」(鹿島朝日高校)というプロジェクトも25年9月から始まっています。
懸念事態とは、①卒業時進路未定率の高さ、②大学、専門学校進学者の退学率の高さ、③ ①及び②のその後の「何もしていない」率の高さーの3点です。「何もしていない」とは“働く(アルバイト含む)”や“学ぶ”手前でどうすればいいのかわからない状態です。「何をしたいの?」と問われても、「それがわかればやってるよ…」という苦しい心境です。
卒業時進路未定率は下がってきたとはいえ24年度卒業生で通信制高校26%(公立37%、私立25%)に対して全日制5%、定時制17%となっています。通信制高校から次の進路へのステップが踏み出せず、社会参画するための土台が学校生活のなかで培われていない懸念があります。
課程別、通信制高校タイプ別に見ると日常的に相談機会がある課程・通学コースのほうが未定率が低い傾向にあり通信制の柔軟な学び方とその生徒に合わせた適切な進路指導の工夫が望まれています。
表1から表3は、25年度通信制高校卒業生アンケート調査から卒業2年後・23年度卒業生と7年後・18年度卒業生の2年間ならびに7年間の経過を追っています。今回掲載するのは卒業時「大学進学」「専門学校進学」「進路未定」の2年間経過と7年間経過です。
「大学進学」「専門学校進学」は進学後「退学」の場合はその後「何もしていない」状態に至る場合が見られます。卒業時「進路未定」はその後の経過のなかで「何もしていない」状態になると以後も継続する傾向にあることが読み取れます。



今回は、「大学進学が進路のトップに」についてご説明しました。いかがだったでしょうか?
次回は、『「高校卒業できればいい」も重要な進路か!? 』についてご説明します。
次回もよろしくお願いします。




