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2026年04月20日
第1回 新設通信制高校27校の見分け方 ◇◇「どうなる!? 2026年度からの通信制高校」(2回連載)
(文・分析 山口教雄 学びリンク代表)
◎公私27校が新設開校
26年4月開校の通信制高校は、私立校25校、公立校2校の27校と25年度に続き20校以上の新設がありました。
通信制高校には、本校所在地を含め3都道府県以上の地域から生徒が入学できる「広域校」と、本校所在地と隣接する1都道府県から入学できる「狭域校」があります。公立校はほとんどが当該地域のみから入学する狭域校です。
また、通信制課程のみを置く高校を「独立校」、通信制課程以外の全日制や定時制を同時に置く高校を「併置校」と呼んでいます。

併置校の場合は、平日は校舎を全日制で使っているので、土日などに通信制で使用するという場合が一般的でしたが、通信制独自校舎を置く学校も増えています。
新設校のなかには通信制校舎を大学キャンパス内に置き大学の図書館、食堂・カフェなどを自由に利用できる(京都光華高校)ところや、大学内にある短大で使用していた校舎をそのまま利用(京都文教大学附属宇治高校、短大は閉校)といった通信制生徒が制約なく校舎・施設を利用できるところも見られます。このあたりは、日常の学校生活に関わるものになりますから学校選びのチェックポイントの一つです。
私立通信制高校新設25校を見ると、広域・狭域校の内訳では広域校7校(内訳28%)、狭域校18校(同72%)と狭域校主体となっています。これは独立・併置校の内訳にも通じ、独立校7校(同28%)、併置校18校(同72%)となっています。狭域・併置校が数の上では新設校の中心となっています。
学校数増加では、狭域・併置校の新設というここ数年のトレンドと同じです。今年度を含めて過去5年間累計92校で見ると、独立校が32%(29校)、併置校68%(63校)となっています。今年度新設校のなかには外部募集を行わず自校の全日制からの転籍者のみを対象とするものもあります。
都道府県別では、静岡県に4校新設されます。静岡県は、23年度までは私立通信制高校は1校でしたが、24年度4校、25年度1校と増えて来ました。静岡市に開校する「あおい開惺高校」は、学校法人つくば開成学園が開校する7番目の高校になります。1法人7校の通信制高校開設はほかにありません。
福岡県にも3校の通信制高校が開校します。福岡県も24年度2校、25年度3校と通信制高校が増えて来ました。新設3校のうち2校が女子通信制高校ですが、同県では24、25年度開設校のうちの2校も女子通信制高校です。女子通信制高校は、福島県、静岡県、兵庫県、広島県にも新設されます。
女子通信制高校は、これら最近の開設校も含めて全国に14校あります。ほとんどが地域に根ざした狭域校で、上記以外の地域では宮城県、神奈川県、長野県、大阪府、奈良県、和歌山県、宮崎県に開校しています。
実を言うと通信制高校は女子比率が高いのも特長です。25年度の女子比率は私立校53%、公立校55%です。タイムパフォーマンスの良さが女子生徒の支持を集めている、と私は見ています。
新設校で収容定員が千人を超えるのは4校でともに独立校・広域校となっています。一方、併置校18校は60人から600人までの定員規模で平均すると171人となっています。
公立2校は、和歌山県立新宮高校(和歌山市)と愛媛県立北条清新高校(松山市)です。
和歌山県立新宮高校は、新宮高校と新翔高校の統合によるもので、和歌山県内だけでなく三重県からも入学できます。公立校は一般的に、その県の在住者または在勤者が入学対象なので他県から入学できるのは珍しい例です。基礎から学び直しができるように1年次の国社数理英5教科に基礎科目を設定しています。通信制以外に全日制、定時制(昼間、夜間)を置く併置校です。
愛媛県立北条清新高校は、北条高校と松山東高校通信制課程の再編によるものです。週2日(水曜、日曜)のスクーリングを実施、本校以外に愛媛県内にスクーリングのできる4校の協力校を置きます。昼間定時制課程を置く併置校です。
◎これから学校つくれるの?
新設校が20校以上も開校する一方で、岐阜県と徳島県では私立通信制高校新設を断念する事例もありました。ともに廃校となった学校施設を借り受けて広域通信制高校の開校を目指していました。
岐阜県では、24年度開校を目指し利活用する廃校のある自治体と譲渡覚書を結んだ事業者が岐阜県私立学校審議会に設立申請したものの、審議会で設置の必要性に対する疑問や反対意見が出て「継続審査」の状態が続いていました。この一方で、廃校修繕費用がかさむことなどを理由に申請が取り下げられました。
徳島県では、24年10月のみのり高校(三好市)開校までは県認可校がなかったものの、みのり高校開校以後に3校からの申請などがあったことで、計画を進めていた事業者が競合激化で安定した教育環境を長期的に維持するのが困難と判断したためといいます。
この開校を断念した例は、「学校法人設立した後に学校設立」という段取りで開校を目指していました。一般的には2年間程度の時間が必要です。学校法人設立に1年、学校設立までにもう1年という感じです。
一般の方は感じないことですが、ここ数年20校以上もの新設校があるのは元々学校法人を持っている学校が学校設立に動いているからです。つまり、上記の1年分はショートカットされています。
26年4月開校の新設25校の母体も新規学校法人による学校設立は3法人に過ぎません。残りの22校は既存の学校法人によるものです。
学校法人や学校の設立を認可するのは都道府県知事なのですが、私立通信制高校の設置審査基準は23年11月に文部科学省が発表した「通信制課程に係る私立高等学校の認可基準(標準例)」を受けて独自の審査基準を持つ自治体が6県増えました。現在30都道府県が独自審査基準を持っています。また標準例を参考に改訂するところもありました。
文科省の標準例はごく一般的な内容となっていますが、これを踏まえて独自の方針を出す自治体もあります。
例えば愛知県は、基本方針として「実施校の設置及び狭域の通信制課程の広域の通信制課程への変更は、当分の間、原則として抑制すること」と私立通信制高校設置へ抑制姿勢を示しています。
また、大阪府も新設校については広域制の設置認可は原則として行わないとしています。ただし、「適正に運営されていると認められ学校経営の安定性・継続性等を踏まえて教育上支障がないことが確実と認められるときは、開設から3年を経過した後、広域の課程への変更を認めるものとする」と広域制への変更の余地を残しています。
今回は、「新設通信制高校27校の見分け方」についてご説明しました。いかがだったでしょうか?
次回は、「教育の質向上の前に必要な方策」についてご説明します。
次回もよろしくお願いします。
