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2019年05月13日
フリースクール等 公民連携15% 文部科学省合同会議
有識者で開かれる「不登校に関する調査研究協力者会議」と「フリースクール等に関する検討会議」の合同会議が5月13日(月)、文部科学省で実施され、関連する最新の実態調査が同省より公表されました。フリースクールなど民間団体で教育委員会等と連携する施設は290で全体の15%であることがわかりました。
調査(民間の団体・施設との連携等に関する実態調査)は全国の教育委員会ほか関連する公的機関1964カ所を対象に行われ、2017年に施行した教育機会確保法施行後の取組みを把握するもの。同法では不登校児童生徒への支援について、行政と関連する民間機関との連携が求められていました。連携しない理由としては「域内に民間の団体・施設がない」との回答が929と最も多く、そのほか「利用を希望する不登校児童生徒が少ない」(366)、「どのように連携すればよいか分からない」(52)などの理由も挙げられました。
法施行後に実施した新たな取組みでは、「学校以外の学習活動の場や支援についての情報提供」が22.5%、「不登校児童生徒の登校時の受入体制の整備」が21.1%という結果が目立ち、特別の教育課程に基づく教育を行う学校(不登校特例校)の整備については2つの自治体で実施され、59の自治体が「検討している」と回答しています。
不登校生の「学校復帰」重視は減少傾向に
「教育支援センター(適応指導教室)に関する実態調査」の結果も公表され、設置状況は全体の63%(1142施設)となり、2年前の調査(2016年度間)から3%(53施設)増加となりました。設置していない自治体のうち41%が今後設置予定あるいは検討中と回答しています。
また、教育支援センター在籍者のうち94.7%が上級学校に進学しており、そのうち6割が高等学校に進学(全日制34.0%、定時制6.4%、通信制23.8%)していることもわかりました。
各施設の活動内容について「学校復帰」を重要とする回答した施設は68.7%で、前回調査より9.8ポイント減少。反対に「社会的自立」とした施設が41.9%と9.6%増加しました。これは教育機会確保法の基本指針の中で出された「登校という結果のみを目的にするのではなく」とした不登校児童生徒に対する基本的な支援の考え方が影響したと言えます。しかし、いまだ7割の施設で登校復帰が重視されていることについて、委員からは「まだ法律が浸透していない」との意見も出されました。
また、この日の合同会議では各団体によるヒアリングも行われ、今年2月に公設民営型で学校外の居場所を民間委託した東京都世田谷区の「ほっとスクール『希望丘』」、2017年に不登校特例校として指定を受けた岐阜県揖斐川町の「西濃学園中学校」、大阪府池田市で公設民営フリースクールを運営する「スマイルファクトリー」、神奈川県川崎市の公設民営フリースペース「フリースペースえん」の活動報告が行われました。
合同会議は教育機会確保法施行後の状況等について話し合われていますが、同時に進められている超党派議員連盟との整合性や、会議の結果が今後どのように反映されていくかなど、今後の課題も挙げられました。委員からは「意見を言うだけで、当事者のためのものになっているのか」など、厳しい意見も出されました。これを受けて、事務方の文部科学省担当者は「今後は明確なスケジュールや論点を示したうえで実施したい」と話しました。