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2019年08月26日
自宅のネット学習で出席認定(東京・千代田区)
「クラスジャパン小中学園」特別プレゼンテーション
不登校児童生徒のインターネットによる在宅学習サービスを提供する一般財団法人クラスジャパン教育機構が、ネットスクール「クラスジャパン小中学園」を7月に開校し、講演や実践例などを踏まえた特別プレゼンテーションを東京千代田区で開催しました。
クラスジャパン小中学園は、利用生徒が在籍する小中学校と連携を結び、生徒の成績評価や出席認定を得られるようにする仕組みを提供。クラスジャパンが生徒の学習や活動状況を管理し、進捗レポートを在籍校に提出することで、学校は成績のほか内申評価も行います。今年5月に開校発表会が行われ、7月に本格スタートしました。
冒頭では、文部科学省の柴山昌彦大臣より祝辞も寄せられました。挨拶を行った同学園の原田隆史校長は「不登校数は14万人とされるが、現場感覚ではもっと多いと実感している。ところが学校は様々な課題を抱え、教員が対応できない実態もある。このサービスはネットを活用することで現場の先生方を支援できる」と、現在の学校現場の実態に必要なサービスであることを訴えました。
また、この日は不登校当事者、文部科学省、学校関係者、教育行政といった様々な立場からの講演も行われました。
元不登校当事者で、『学校は行かなくてもいい』の著者でもある小幡和輝さんは、今年8月、自身が企画したイベント「#不登校は不幸じゃない」を全47都道府県100か所以上で開催し、1000人近い不登校当事者と交流。小幡さんは「不登校を取り巻く環境は変わり、子どもそのものは何とでもなる状況になった」としつつ、「親の理解は増えても特に祖父母世代の理解が追い付かず、子どもたちを苦しめている」と指摘。子どもだけではどうにも動けない状況に、「大人が子どもの状況を理解する必要がある」と訴えました。
文部科学省からは初等中等教育局児童生徒課の担当者が、現在の不登校支援策や自宅学習でITを活用した際の出席扱いについて解説しました。国は2005年に、不登校生が自宅でITを活用した学習活動を出席扱いとすることができる旨を通知しています。しかし、この制度を活用しているのは最新の調査でも全国で149名程度。利用者の少なさに課題は残るものの、担当者は「教育機会確保法の後押しも受けて今後活用が増えてくるのではないか」と今後に期待を寄せました。
さらに、実際にクラスジャパン小中学園のサービスを利用する生徒を受け持つ中学校の事例発表のほか、フリースクールなど民間団体との積極的な連携を行う兵庫県尼崎市教育委員会による事例発表も行われました。クラスジャパン小中学園を活用する福島県の西会津町立西会津中学校では、サービスの利用にあたって学校独自でガイドラインを策定し、利用生徒の成績評価に一定の基準を設けるなどの取組みを実践しました。一方で、利用生徒は4月以降、徐々に登校回数が増えるなどの効果が表れている様子が紹介されました。
クラスジャパンは、「独立したスクールではなく、あくまで学校に在籍したうえで受けるサポート」と自らのサービスの立ち位置を紹介。不登校であっても成績や内申がつくことで、全日制高校への進学や就職などの道が狭まることなく、進路の幅を確保したいとしています。7月の開校以来、現在までに複数の学校で利用が始まっており、今後の活動の広がりにも期待されます。