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生きること・働くこと④ “単純労働”って本当に単純?

 2018年7月12日

 
農業も慢性的な人手不足の分野。生き物相手の仕事だけにそう“単純”ではない。


日本では、外国人が単純労働をすることは原則として禁じられています。それは、単純労働は誰でもできるため、発展途上国から日本に大量の労働者が流入して日本人の仕事が奪われないようにガードしているのです。永住者や日本人と結婚している人には制限はありませんが、在留資格があってもたとえば「留学生は1日4時間以内」というように制限があるのです。それでもコンビニやレストランでは多くの外国人が働いています。それは日本人の若者が少なくなり、人手不足だからです。また、日本人は単純労働を3K(きつい、きたない、危険)の労働だと考えて避けているからかもしれません。

では、単純労働は本当に単純で、誰にでもできるのか、考えてみましょう。

単純労働は「知識がなくてもできる簡単な仕事」という意味です。単純労働には工場作業や荷役作業、建設作業などがありますが、例として工場のライン作業を思い起こしてください。ネジをつける人、不良品をはじき出す人など分業が多く、同じ作業を繰り返し繰り返しやっています。ただし、単純な作業でも技術や経験が要らないわけではありません。ベテランになると作業を速くかつ正確にできるようになります。

清掃作業になるとかなりの応用力が必要です。汚れは場所によっても日によっても違うのでやり方を工夫しなければなりません。使う人のことも考え、気配り目配りをすれば、利用者の気分もよくなります。東京駅には“カリスマ清掃人”と呼ばれ、本まで出した人がいました。どんな仕事でも“上には上”があります。そして上を目指すには知恵も知識も要ります。決して“単純”ではないのです。

日本政府は、来年4月から「建設」「農業」「宿泊」「介護」「造船」の5分野で、外国人が試験に合格すれば就労資格を得られるようにするそうです。2025年には建設業界で78万~93万人、介護分野で約38万人の労働者不足になるとみられているので、その多くを外国人労働者で補おうとしているのです。

家やビルを建てたり、野菜を生産したり、高齢者を介護したりすることは私たちの社会にとって必要不可欠のことです。日本人も「単純労働はきつい」とばかり言わないで、「楽しく仕事をする」知恵を身につけないと、外国人に見放されるのではないでしょうか。

次回は「仕事は “苦っ楽しい”?」について考えてみたいと思います。