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大学って何⑦
大学入試は変わります-「クイズに答える力」より「自分の考えを伝える力」へ-

 2018年11月1日

 
大学の大学入試共通テスト(昨年の試行調査)・国語記述問題の一部。
前回は大学入試の全体像を見ました。実は、2021年度(平成33年度)大学入学試験から大学入試センター試験がなくなり、「大学入学共通テスト」が始まります。試験の実施は2021年1月なので、東京オリンピックが終われば、新テスト対策が待っているということになりますので、受験が予定される人はいまからその内容に注意をしておいてください。大きな変更ですが、勉強することに変わりはないので必要以上に恐れることはありません。

では、なぜ変わるのでしょうか。大学入試は高校で身につけた基礎的な学力を見、大学で学ぶ力があるかどうかを判定するのですが、これまでのセンター試験は知識の多さと正確さを見ることに偏っているとの反省から思考力・判断力・表現力を中心に評価を行うことになったのです。しかし、センター試験はすべて回答を選択するマークシート方式ですから、考えさせ、表現させる問題には合っていません。そこで記述式の問題を入れることにしました。

昨年11月に実施された試行テストでは国語と数学に記述問題が出ましたが、高校生はかなり苦戦したようで、記述問題に限れば正答率が1%に満たなかった設問もあったそうです。国語では、生徒会の部活動規約と、規約をめぐる生徒たちと先生の会話文、関連した表やグラフを素材にした大問を出題し、記述式の小問3問(50字以内、25字以内、80~120字)に答えさせた、という内容でした。皆さんが受験するまでにはたくさんの情報が出回ると思うので、落ち着いて受けられるようになるでしょう。

もう一つの大きな変化は英語です。「聞く」「読む」「話す」「書く」の4技能をバランスよく身につけているかどうかを、TOEFLやTOEIC、英検など民間で行われている資格・検定試験を原則として高校最終年度に2回受検し、その結果を共通テストの枠組みの中で活用しようというものです。

大学入学共通テストの大枠は、最終的に来年度初めに文部科学省の「実施大綱」で発表されます。また、国公私立大学ともどのように活用するかは、大学・学部、試験の種類によって異なるので、それぞれの募集要項の決定を待ってください。

「知識(記憶力)よりも知恵(考える力)を」ということは、ずいぶん前から言われてきました。実は“ゆとり教育”もその一つで、教材を少なくする代わりに時間をかけてじっくり考えさ、新しい課題に対応できる力を付けるつもりだったのですが、授業時間も削ってしまったので考える時間がなくなり、単に知識が少なくなるだけだった――というのが私の見方です。今回の入試改革も考える力を高校、大学で身につけることをねらっています。よく考えてみると、通信制高校生には有利な目標だと思いませんか。

これからのグローバル社会では「初めてのことに対応できる力」が必要だということです。さて、あなたは、どうやってそれを身につけますか?