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「気になりますね!通信制高校」
通信制高校の“今” ①
高校のなかでの通信制高校のポジション

 2021年10月1日
 

◇◇通信制高校の“今”
第1回 高校のなかでの通信制高校のポジション◇◇

文部科学省は、毎年8月にその年度の5月1日現在の学校数、生徒数の現状をまとめて発表しています。8月は速報値で、12月にその確定値が発表されています。速報値と確定値の間にはそれほど大きな差はできないのが例年のことです。

これから3回シリーズの「通信制高校の“今”」では、この学校基本調査のデータを中心に通信制高校の現状についてご説明します。
第1回の今回は、高校全体に通信制高校がどのようなポジションを占めているかをご説明します。

◎広域校が増えて選べる環境が多様に
まず、通信制高校制度開始以来、ここ数年“過去最高”となっているのが学校数と生徒数です。
学校数は、前年度から3校増えて260校(公立77校、私立183校)となりました。
読者の皆さんの多くは「えっ!? 過去最高なのに260校だけ?」、意外に少ないと思われたのではないでしょうか。全日制・定時制高校は4,857校(全日制のみ4,223校、定時制のみ171校、全日制・定時制両方463校)もありますから、それに比べれば約5%程度の学校数に過ぎません。

通信制高校が増えて選びやすくなったという感覚を持っている方が多いと思いますので、もう少し詳しく説明します。
260校というのは本校の数です。と、言ってもまだピンと来ないかもしれません。実は、この学校数の内訳が「通信制高校が増えた」と感じる背景になっています。
それは、広域校という3県以上の広い範囲から入学できる私立通信制高校が増えたということです。「関東全域から」「近畿全域から」あるいは「全国から」、それぞれ入学できる学校が増えたのです。通信制高校には、この広域校と1~2県からのみ入学できる狭域校の2種類があります。

広域校は、ほとんどが私立高校で109校と、私立通信制高校183校の約6割を占めています。この広域校数は、25年前の1996年は8校と現在の10分の1以下でしたが、2000年代に入り年々増加してきました。

広域校は、広い範囲から生徒が入学できることからその利便性を考えて各地にサテライト施設を開設してきました。その数は2,868か所となっています。この校数だと全日・定時制高校の学校数に比べても約6割程度の学校数となります。
特に都市部の主要駅周辺には通信制高校のサテライト施設が多く開設されるようになりました。駅近でアクセスも良いため、その開設数とともに多様な学ぶ環境を選べるようになって現在に至ります。

◎サポート校へ法律的な裏付け
通信制高校サテライト施設の53%とほぼ半数を占めているのがサポート校です。全国に1,532か所あります。民間の教育施設ですからそれを開設するための許可や設置基準というものは、これまではありませんでした。

今年3月に通信制高校を規程する法律「高等学校通信教育規程」が改正され、サポート校についても法律的な裏付けが求められるようになっています。

法律では、サテライト施設を「通信教育連携協力施設」と呼んでいます。これには2種類あって、通信制高校卒業に必要なスクーリングができる施設(「面接指導等実施施設」と呼びます)と、生徒の日常的な学習支援を行うサポート校などの施設(「学習等支援施設」と呼びます)に区分されるようになりました。

学習等支援施設に区分されるサポート校は、これから通信制高校の学校規則を定めた学則に名前などが記載されていくことになります。学則に記載されるためには各都道府県に設置されている知事の諮問機関・私立学校審議会という場で審議され知事が認可する段取りになります。

ところで、私自身はサポート校のような学校が必要だと思っています。なぜかというと通信制高校はとても柔軟な学び方ですが、中学時代までと異なり自発的な行動がないと意外に誰もフォローしてくれないところもあります。

例えば、せっかく入学はしたものの1科目も履修登録をしない生徒が約13%(公立校34%、私立校5%)もいます。人数にすれば約1万8千人です。
生徒の事情に合わせて、日常的な面倒見がないとスタートラインに立てないという実情もあります。
その点では、3月の法律改正で通信制高校本校とサポート校の結びつきがよりしっかりとしたものになり、生徒へのフォローが充実することが期待されます。

今回は、「高校のなかでの通信制高校のポジション」についてご説明しました。いかがだったでしょうか?

次回は、「中学からの進学者と転編入学者」についてご説明します。
次回もよろしくお願いします!