【学びリンク公式SNS】
フォロー/登録よろしくお願いします!

X(旧Twitter)  Instagram  Facebook  YouTube  LINE 

「気になりますね!通信制高校」
どうなるの?通信制高校卒業後 ー卒業生約1,600人調査結果から見えたものー③
“何もしていない”比率が目立つ進路未定者

 2022年5月2日
 

◇◇「どうなるの? 通信制高校卒業後」ー卒業生約1,600人調査結果から見えたものー(4回連載)
第3回 “何もしていない”比率が目立つ進路未定者

◎進路未定者のその後が把握できない!?

新しい学校の会が実施した通信制高校卒業生1,600人調査は、卒業時の状況を「進学(留学含む)」「就職」「進路未定」3分類として、卒業後2年後(2019年度卒業生)、7年後(2014年度卒業生)の現在までの経過をたどっています。
このシリーズ前回は、卒業時進学者と就職者のその後の経過を調査結果から追いました。

今回は、卒業時進路未定者のその後を追います。卒業生アンケート調査実施の背景には、この進路未定者がその後どんな経過をたどっているかを確かめるということもありました。

通信制高校は全日制高校、定時制高校に比べて進路未定者が高い水準にあります。2021年度で見ると、全日制4.4%、定時制17.1%に対して通信制は32.8%となっています。しかも一部の学校を除き、卒業時進路未定者がその後どうなったか把握できていないのが実情です。
これは、通信制高校に共通している大きな心配のタネです。



まず卒業時進路未定者の卒業から2年間の経過を見ると、比率の高い順に「アルバイト(32%)」「進学(27%)」「何もしていない(24%)」「就職(16%)」と分散して突出したものは他に比べて見られません。

アルバイトをしている人の中には「アルバイトをしながら進学も含め検討している」「(やりたいことを実現するために)正社員には今はなっていない状態です」という場合も目立ちます。また、「卒業後結婚」したという人もいます。

一方、浪人などから進学した卒業生からは、このアンケート調査を機会に大学、専門学校などへ進学したという嬉しい報告も入っています。この点は、今回のアンケート調査の良いところです。

「何もしていない」という回答が卒業時約22%、卒業後2年間の経過の中で約24%、現在も約17%となっています。調査対象全体では、卒業後2年後に「何もしていない」は約6%ですから、約3倍の比率となっています。
複数校の状況をこのように定量的に把握できたのは、実は今回の調査結果が初めてのことです。

ただ「何もしていない」と回答した人も、「浪人中」や「少しPC勉強しながら引きこもり」「実際には何かをしている」「今、簿記3級の勉強をしています」という実際には何かをしている人たちも入っているため、実情から言えばもう少し比率が減少するものと思われます。

「何もしていない」という人の自由記述回答を見ると体調不良が目立ちます。「体調を崩して療養している」「体調不良のため自宅療養しつつ社会参加を目指す」「自律神経失調症を治療中」などそれぞれの人の事情がうかがえます。

「卒業後、医師から精神病の診断が出て今は休養しながらも社会復帰のために奮闘しています」という人は、母校への要望として「学生のうちに心身共にもっと自分の病気を理解していたかったなと思うため、健康診断などにメディカルなどを組み入れたり、生徒たちが気軽に相談などできるようなそんな場があったらいいなと思います」と述べています。

◎「何もしていない」が負い目になりやすい



卒業時進路未定者の卒業後7年間の状況を見ると、「就職した」が約38%で高い比率を占めています。現在の状況も在職中約51%、アルバイト21%で約72%は働いています。

卒業後7年間がたつといろいろな経験をしています。「進学した学校を退学後、職業訓練にて資格を取得し、自動車ディーラーに就職」というある卒業生は、自らの体験を踏まえて母校への要望として「生徒が就職、進学に悩んでいるのであれば、職業訓練校に入学するのをおすすめします。資格を確実にとれ、就職の斡旋や将来の不安などを真摯に向き合ってくれる」と自らの体験も含めた情報を伝えています。

「何もしていない」という回答は約11%と進路未定で卒業した2年後の生徒より低くなりますが、長引く様子があります。卒業後7年後にこの状態だと自らを「ニート」「無職」など否定的な言葉で捉えています。「就職サポート」を母校に期待するというものもあります。
「何もしていない」という状態を長引かせないためには、キャリア形成支援があることが望ましいと思われます。

今回は、「“何もしていない”比率が目立つ進路未定者」についてご説明しました。いかがだったでしょうか?

次回は、「卒業生アプローチの先進事例校」についてご説明します。
次回もよろしくお願いします!