「気になりますね!通信制高校」
新設校インタビュー
ヒューマンキャンパスのぞみ高等学校 校長 重栖 聡司(おもす さとし)さん②
2022年7月15日
◇◇新設校インタビュー:ヒューマンキャンパスのぞみ高等学校
校長 重栖 聡司(おもす さとし)さん②
◎進路で迷う生徒の受け皿になる
千葉県の山武・長生・夷隅地域には立派な私立高校があり、これまで果たしてきた、そして今後も果たすであろう役割については私が語る余地もありません。その部分に新設通信制高校が入って行こうという意もなければ、できるとも考えていません。
そのような中でも、全日制の対象からはずれてきた子どもたちが、やはり以前からこの地域にもいたんです。それが今は顕著になっています。
この近辺の卒業生50人ぐらいの中学校であっても、この3月は約1割が通信制高校に進学しているんです。その子たちは、千葉市など遠くの通信制高校に行くことになります。茂原市だけで考えても、例年20人以上が進路を模索するのですが、通信制は近くにない。いろいろな事情があります。不登校であったり、毎日は通学できないとか、集団の中に入れないとか、全日制高校には能力があってもなじめないわけです。
そういう事情の子がこの地域に1人でも、2人でもいるのなら、その子たちの受け皿となる教育機関があっていいんじゃないかと思いました。
それは、今までの私立高校のやり方を否定するものでもないし、公立志向を否定するものでもありません。もし、のぞみ高校に行きたいという子が1人でもいれば、これまではその進学機会を与えられなかった私たちがその子たちにふさわしい機会をつくるべきではないのか。それが私の根本の考え方です。
◎本校スクーリングの魅力を伝える
のぞみ高校は、広域通信制高校の本校ですから本校スクーリングを行います。姉妹校には沖縄県名護市にヒューマンキャンパス高等学校があり、そこでは多彩な内容の本校スクーリングがすでに確立されています。
のぞみ高校には、今年度約900名以上の生徒が入学しました。いずれ2年次に茂原本校スクーリングを行います。生徒の6割から7割が本校スクーリングに参加するでしょう。面接指導等実施施設は全国にありますから、全生徒に本校スクーリングを強制するつもりはありません。ただ、本校スクーリングに行ってみたいなという気持ちが生徒にわくように用意していきたいと思います。まだ1年目は難しいかもしれませんが、2年目、3年目になるにつれて充実させていきたいです。
食と地域の文化とを結び付けて、総合的な探求の時間の題材として、この地域をはじめとした千葉県の郷土料理「祭りずし」をぜひ取り上げたいと思っています。地元の方に協力してもらい、その方たちとふれ合いながら、生徒自身も「祭りずし」づくりに挑戦してもらう。“絶対”と言っていいくらいうまくいかないと思います。とても難しいですから。それでも、失敗する中で、それを食べる中で、日本の食文化の深さを感じてもらいたいと思います。
それから茂原にはいろいろな資源があって、ご存知の方もいますが天然ガスの産地なんです。地下からわいてくる天然ガスを自宅用として使っている家庭もあります。それぐらいこの地域は世界的にも有名な天然ガスの埋蔵地域なんです。天然ガスの用途とか、ガスがどういう仕組みで生活に入ってきているのかとか、これも茂原の地域学習の素材としては使えるのではないかと思います。
本校スクーリングは宿泊を伴いますが、宿泊は茂原市隣接の長柄町の「リソルの森」で行います。グランピングや森の中の体験で今とても人気がある施設で、コテージを使った宿泊学習を取り入れたいと思っています。首都圏や大阪など都会から来る生徒には、ここでの3泊は貴重な体験になると思います。