通信制高校に関する用語解説
通信制高校の学費はどうなっているのか
用語:通信制高校の学費、授業料、特別講座費用、就学支援金
◎私立通信制は授業料値上げ中
学校選びの要素で欠かせないのが学費です。
学び方や学ぶ内容についていろいろな選択肢がある通信制高校ですが、学費の選択肢も意外に多いです。
そこで3回にわたって、学びリンクが調べた公立通信制高校50校、私立通信制高校190校・327コースのデータをもとに2024年度の最新学費事情をご説明します。
通信制高校には公立校と私立校があります。まずこの両者の学費を見てもらいます。
上の表で「単位料による学費」としているのは、単位料ではない学費コースもあるからです。この後ご説明しますが、私立通信制高校には「定額制による学費」を設けている学校が多くあります。
私立校の学費は、「単位料」と「定額制」の2種類の学費があります。一方、公立校はほとんどが単位料による学費となっています。
単位料による学費は、1単位あたりの授業料を設定しています。
単位料による学費を公私別で見ると、一目瞭然で金額がかなり違います。平均額は、公立校は1単位300円、私立校は1単位10,220円です。ともに就学支援金を受給できる皆さんには支援金によって減額されます。
私立高校は、24年度に初めて平均額が1万円を超えました。23年度の9,960円から2.6%増加しました。
私立校全体で見ると微増の域ですが、1単位授業料を値上げした13校で見ると、値上げ幅は13校平均で20.3%増と大幅なものになっています。就学支援金の加算額である1単位12,030円に近づける動きや特定の科目授業料を新設する動きもあります。
下の表は、過去4年間の私立校1単位授業料の価格帯別推移です。21年度に7%を占めていた1単位6,000円以下は、24年度はゼロになりました。価格帯の中心は10,000円と12,000円になり、両者で6割近くを占めています。
◎単位料学費にオプション追加が定額制
学費の構造を見ると、公立校はシンプルです。しかも同じ都道府県内にある公立校の学費の金額は同じです。例えば、東京都には3校の公立通信制高校がありますが、3校とも「入学金500円、1単位授業料350円」となっています。
この背景には、公立校はその自治体エリアの人(一般的に在住・在勤者)、言葉を換えて言うとその自治体に税金を納めている人しか入学できないので、税金で作られている校舎などへの費用負担はすでに済んでいる。そのため「施設設備費」などはないのです。
公立通信制高校を選ぶ場合、学費については入学できるエリアのどの高校を選んだとしても学費はほぼ“一律”となります。
一方、私立通信制高校の学費バリエーションは豊富です。学びリンクが調べた190校・327コースの学費を分類すると、単位料による学費を設定しているのは158コース(構成比48.3%)、定額制による学費を設定しているのは169コース(同51.7%)でした。定額制による学費が増える傾向にあります。
定額制による学費は、単位料による学費に2つのオプションが加わった状態です。①通学回数、②学ぶ内容の2つです。
通学回数は、週1日以上の通学コースなどを選択した場合。学ぶ内容は、いわゆる専門コース、大学進学コースやプログラミングコースなどを選択した場合になります。
定額制の授業料も就学支援金の対象になります。通学日数で学費を区分すると下の表のようになります。週4日コースの入学金が高くなっていますが、これは集計サンプルの構成によるものです。一般的には、通学日数が増えると学費も平行して増えます。
通学日数などをはじめとした学び方、選択する学ぶ内容などを踏まえて学費もいろいろと選べます。
ぜひ、いろいろ検討してみてください。