通信制高校に関する用語解説
高等専修学校とはどんな学校か
用語:高等専修学校、専修学校高等課程、専門学校高等課程、大学入学付与指定校
●職業教育に重点を置いた学校です
高等専修学校は、中学卒業生を対象に職業教育に重点を置いた教育を行っています。
2020年度で学校数は全国に404校、生徒数は約3万4075名が在籍しています。
高校中退者編入学制度により高校中退生を受け入れている学校もあります。専修学校高等課程と呼ぶ場合もあります。
調理師、理美容師などの国家資格を取得したい生徒や、国家資格でなくても簿記などをはじめとした職業や仕事に役にたつ資格を取得したい生徒の進学先となっています。
音楽や芸能などの学科では、それぞれの夢に向かってレッスンを中心とした学校生活が行われています。何を学べば将来役にたつか考えて選べる学校です。
高等専修学校は、文部科学省により下記のような8つの分野に分類されています。生徒数は医療関係が約30%で最も多く、次いで商業実務関係、衛生関係、工業関係の生徒数が続きます。医療関係の96%の生徒は准看護学科の生徒となっています。
ほかに学科として生徒数が多いのは、商業、調理、情報処理などがあります。
【高等専修学校の8分野と学科】
1.工業関係 (学科の内容)情報処理、コンピュータグラフィックス、自動車整備、土木・建築、電気・電子、放送技術、無線・通信制 など
2.農業関係 (学科の内容)農業、園芸、畜産、造園、バイオテクノロジー、動物管理 など
3.医療関係 (学科の内容)看護、歯科衛生、歯科技工、臨床検査、診療放射線、理学療法、作業療法、言語聴覚療法、はり・きゅう、あんまマッサージ指圧、柔道整復 など
4.衛生関係 (学科の内容)栄養、調理、製菓、製パン、理容、エステ、メイク、ネイル など
5.教育・社会福祉関係 (学科の内容)保育、幼児教育、社会福祉、医療福祉、介護福祉、精神保健福祉 など
6.商業実務関係 (学科の内容)経理・簿記、旅行・観光・ホテル、会計、経営、医療秘書、流通ビジネス、OA、ビジネス、福祉ビジネス など
7.服飾・家政関係 (学科の内容)ファッションデザイン、ファッションビジネス、アパレルマーチャンダイジング、和洋裁、編物・手芸、スタイリスト など
8.文化・教養関係 (学科の内容)デザイン、インテリアデザイン、音楽、外国語、演劇・映画、写真、通訳・ガイド、公務員、社会体育 など
高等専修学校は、学習指導要領の適用を受けない学校づくりができ、これが職業教育に特化した学校づくりの背景になっています。
また、この点は国語、数学、英語といった高校普通科目を学びにくい生徒を受け入れられる特長にもなっています。
不登校経験者や発達障がいを持つ生徒の受け入れをこの柔軟な仕組みを活用して、積極的に行っている学校もあります。職業教育の一方で、支援が必要な生徒のための教育も行っています。
●「大学入学資格付与指定校」で進学もOK
高等専修学校には、1年制から5年制まで、学科によっていろいろなコースがあります。
3年制以上の学校のうち、文部科学大臣が一定の要件を満たしていると認めた指定校の修了者は、大学や専門学校進学にあたって高校卒業者と同等以上の学力があったと認められています。この指定校のことを「大学入学資格付与指定校」と呼び、大学や専門学校への受験ができます。
この指定校では、高校普通科目も週に4コマ以上は行われ、専門分野を深く学びながら大学や専門学校への進学にもそなえられるようになっています。
また、技能連携を通信制高校などと結んでいる学校なら、生徒は卒業時に高等専修学校卒業と高校卒業の両方の資格が取得できます。就職を希望する場合は、高卒求人からも選べます。
ときどき、「高等専門学校」と混同する方もいるのですが、こちらは5年制の工業または商船に関する学科を置いた学校で異なります。