通信制高校に関する用語解説
不登校と通信制高校
用語:不登校
●学校に毎日行かない学び方もあります
小中高をあわせた不登校状態(※)の児童生徒は、約31万5千人となっています(2022年度)。
【不登校児童生徒数(2022年度)】
・小学生 60,575名
・中学生 193,936名
・高校生 60,575名
※文部科学省調べ
時系列で見ても、一定の人数の不登校状態の人がいるように思います。現実から見れば、毎日学校には行かないが、それとは異なる方法で学びたいという要望も高いのではないでしょうか。
高校の不登校生には、通信制高校は含まれていません。なぜかと言えば、学ぶ仕組みとして不登校という問題にならないからです。通信制高校は、卒業に必要な単位数である74単位以上を3年間で平均的にとった場合の25単位履修でも年間スクーリング日数は20日間程度です。
通信制高校の生徒のなかにも学校に行きたくても行けない不登校やひきこもり状態で悩んでいる生徒はいますが、「年度間で30日以上欠席」という不登校の前提が成り立たないのです。通信制高校の生徒は、学校に行く日数が少ないのでそれぞれが自分のライフスタイルに合わせて学校以外の生活と両立させているケースが多く見られます。
不登校は、「学校に毎日行かなければならない」という前提があって成り立ちますが、通信制高校のように「学校に毎日行くこともできるが、行かなくてもよい」というタイプには成り立たないのでストレスが少なくなります。
●不登校でも成長していたのだと感じる場面
学校に毎日行くことで得られるものも多いと思います。友だち、学力、社会性などたくさんあるでしょう。通信制高校の生徒を見ていると、毎日行かない登校・通学形態でもこれらのものはそん色なく得ているように思いますが、それは義務教育段階を経た高校生だからかもしれません。
通信制高校の生徒には、中学時代以前に不登校状態だった人がたくさんいます。その不登校も、高校生になってみると「経験」となっています。不登校時代があったからこそいまの通信制高校の生活を充実して送れると話してくれる生徒が多いのです。不登校時代も成長していたのだと実感できる一場面です。
学校は長年にわたってつくりこまれてきたものですから、そのすべてのかわりはできないかもしれませんが、ほかでも補っていくことはできます。不登校時代も成長しているという前提で考えてもらうなら、できれば第一の居場所でもある家庭環境を快適に整えてもらうことがとても大切だと思います。
毎日学校に行くのが当たり前の経験しか持たない大半の保護者の方にとっては、少し違和感があるかもしれませんが、不登校は外へ向かうエネルギーが不足している状態ですから、それを蓄えることができるのは家庭以外にありません。快適な環境のなかで人は着実に伸びていくのだと思います。
※文部科学省は年度間に連続または断続して30日以上欠席した生徒数を理由別に調査しています。
「不登校」とは、何らかの心理的、情緒的、身体的、あるいは社会的要因・背景により、児童生徒が登校しないあるいはしたくともできない状況にある者(ただし、「病気」や「経済的理由」による者を除く)をいうとされます。
『不登校後を生きる』 樋口 くみ子(岩手大学人文社会学部准教授) 著
不登校経験の著者が振り返って「これは役に立った」「あー、もっと早く気づけばよかったのに!」と思うこと