通信制高校に関する用語解説
不登校を経験した人のその後
用語:不登校、不登校追跡調査
●成長の半面、心理面の継続的な支援も大切
2006年度に中3で不登校だった生徒が、中学卒業から5年後にどうなったかを追跡した調査があります(「不登校に関する実態調査」文部科学省、2014年度発表、以下追跡調査)。
中学を卒業したころに比べて5年後に成長したのはどんなところか聞いています。
「人の痛みがわかるようになったり、人に対して優しくなったこと」48%、「自分で働いて収入を得ようとすること」47%などが高い回答比率となっています。
その一方で、「かっとしたり、いらいらしたりしなくなった」19%、「孤独に耐えられること」25%などが低い回答比率となっています。
不登校を経験して、20歳前後になった人たちの成長の姿がうかがえるものの、心理面での継続的な支援が必要な様子もあります。
この成長を支えてくれたのは誰だったかという質問には、「母親」56%、「先輩・友人」44%となっており、この両者の存在が大きかったようです。ちなみに「父親」も、これに次ぐ28%で3番目になっています。「親」の励ましの言葉は、時にけむたがられても成長の背中を押しているのです。
また、心理面と同様に学ぶための方法(例えば辞書を引く、誰かに質問するなど)を支援することも必要とされます。
●中卒後も進路に曲折はあるが成長します
追跡調査によれば、中学卒業後に高校などに進学した人は87%、進学しなかった人は12%でした。それぞれの進路ともに曲折がありますから、その都度アドバイスなどが必要になります。
不登校経験を持つ中3生で高校進学した人の中学卒業後5年間を見ると、中学卒業から高校進学した人(1298人)の67%が高校を卒業し、中学卒業から5年経った時点では、そのうち7割の人が大学進学あるいは大学進学準備をしています。
高校中退した人は20%で、そのうち約3割の人は高校再入学しています。この時点では高校中退から高校再入学した人の半数近くは高校卒業に至っていますが、約3割の人は学籍期間が途切れたことで、高校在学中となっています。高校転学した人は9%で、このうち8割近くの人が高校を卒業しています。
中学卒業後に就職した人(96人)の5年後を見ると、75%の人は仕事を継続し、23%の人が仕事をやめています。
仕事を継続している人のうち、14%は高校へも進学しています。仕事をやめた人の13%も高校進学しています。高校進学と同時に就職している人(67人)の5年後は、仕事を継続している人が半数で、さらにその半数が高校卒業に至っています。