通信制高校に関する用語解説
ひきこもりの現状と要因
用語:ひきこもり
●ひきこもり状態の人は約54万人
(15〜39歳)
ひきこもりの人は何人なのかを推計したデータがあります。内閣府が2015年に調査した推計によれば15歳〜39歳の人の間で約54万人とされます(「若者の生活に関する調査報告書」)。
ひきこもりとは、「仕事や学校に行かず、かつ家族以外の人との交流をほとんどせずに、6カ月以上続けて自宅にひきこもっている状態」と厚生労働省では定義しています。
約54万人という推計は、5000人の調査対象から得た3115人分の有効回答(回収率62%)から導き出されたものです。調査結果によるひきこもりに該当する人数は49人でした。
これを調査時点の15歳〜39歳人口3445万人に掛け合わせて得たものです。同様に行った2010年度推計が約70万人でしたからこの年齢層では約16万人減少していることになります。
2回の調査を比較すると、15年調査ではひきこもり期間が7年以上とする人が35%と、10年調査の17%から倍増し長期化の傾向があります。
ひきこもりになった年齢も35歳〜39歳が10%と5%から増え、比較的年齢が高くなってひきこもる人が増えています。男女別では、男性が63%、女性37%でした。
●ひきこもりの要因は複合的です
この調査でひきこもりになったきっかけを聞いたところ、49人中同数の9人が「不登校(小・中・高)」「職場に馴染めなかった」と回答しています。
ひきこもり状態の人で小中時代に不登校を経験した人は31%と、ひきこもりでない一般対象者の5%に比べ約6倍になっていますから不登校がひきこもりへとつながる要因となっていることは否定できません。
しかし、突出しているようなきっかけはありませんから、複合的な理由でひきこもり状態になったと見られます。
ひきこもり状態となるきっかけは不登校もその1つでしょうが、多くの不登校経験者が通信制高校などで元気を取り戻している様子を見れば、やはり複合的な要因だと思います。
ただ、思春期で苦戦した問題はその後も引きずる場合が多いです。
通信制高校の生徒でひきこもりを経験し、その後、自分らしさを取り戻した人たちと話して思うのは、その問題を自分のなかで整理して、引きずられやすいことを自覚したうえで、それぞれの人が再びそうならないように工夫していることです。
例えば、資格を取ったり、技能を身につけたりして社会(=家の外)で必要とされる存在になろうとするようなことです。