通信制高校に関する用語解説
高校中退からの進路
用語:高校中退、高校中退者数、編入学、再受験
●高校中退の相談相手になるのは「親」です
内閣府「若者の意識に関する調査(高等学校中途退学者の意識に関する調査)」という2011年度に発表された中退生の意識調査によると、中退理由で一番多いのは「欠席や欠時がたまって進級できそうもなかった」55%(とても当てはまる30%、まあ当てはまる25%)が一番多くなっています。
相談などを受けていると同じ内容のことをよく聞きます。内閣府調査では、この中退理由に次いで「校則など校風が合わなかったから」(52%)、「勉強がわからなかったから」(49%)「人間関係が上手くいかなかったから」(46%)――などが続きます。
高校中退と高校転入の理由は、ほとんど同じではないかと思っています。ところが、選択は異なります。
なぜでしょうか? 高校中退は、ほとんどの人が初体験になるので約8割の人は誰かに相談しています。その相談相手になっているのは、この内閣府調査では90%が「親」と回答しています。
次いで「高校の先生」が51%となっています。この両者がどのように相談を受けて回答するかで道が分かれるのだと思います。保護者の方は、当人にとって中退、あるいは転入学などがどんなメリットになるのか客観的に見てあげることが何より大切でしょう。
また、中退後の進路を決定する時に当人が苦労した点として「適切な情報を得る方法がわからない」ということがあります。
保護者の方も高校で進路変更した経験がない人が大半ですから右往左往してしまいますが、お子さんと一緒にどうするか考える伴走者となる姿勢が大切です。
大人は、将来を見越せる時間軸を持っていますから目先のことだけでなく、将来にわたる成長を見越した進路のアドバイスを心がけて欲しいと思います。
●情報収集も大人の手助けが必要です
高校中退した人も、高卒資格の必要性は中退前も中退後も約8割の人が認めています。その一方で、本人がその時点で高卒資格を得るためにあと何単位必要か知っているのは37%でした。
こういう本人に直接かかわる具体的な情報収集も大人の手助けが必要になります。1つの目安としては、全日制高校で1年生を修了している人なら30単位程度は修得しています。
また、高認(高卒認定試験)も高校中退から次への進路を考えるときに、選択肢の幅を広げてくれる資格試験です。高認も高校1年生を修了している人なら受験科目が少なくすみます。
高校中退者数は減少傾向にありましたが、ここ数年はやや増加傾向が見られます。2018年度約4万9千名、19年度約4万3千名、20年度約3万5千名、21年度約3万9千名、22年度約4万3千名(文部科学省調べ)――と推移しています。
中退者が減少を続けた背景には、高校中退よりも学籍期間の途切れない転入学のメリットが知られてきたことがあります。中退者にやや増加傾向が見られる背景には、そうした情報が本人に届いていない場合があるかもしれません。
中退時点の将来の見通しとして多い「ほかの高校に再入学するつもり」なら、辞めて高校をかわる中退より、辞めないで高校をかわる転入学のほうがメリットが多いでしょう。通信制高校は、編入学も柔軟に受け入れられますが、中退率は低くありません。
学校選びは、「入りたい学校」をしっかり選ぶことが大切です。