通信制高校に関する用語解説
通信制高校の学校生活での不満点
●不満は「高卒資格が確実に取れるか?」
アンケート調査(※)によると、通信制高校の学校生活で不満な点として10%程度の回答があった項目としては、「高卒資格が確実に取れるかどうか不安」(回答比率、生徒13%、保護者10%)が生徒と保護者の方で共通しています。
ほかに生徒では、「集中スクーリングがさほどおもしろくない」(11%)、「登校日が思ったより多い」(9%)などがあり、保護者の方には「友だちがつくれない」(10%)があります。
「高卒資格が確実に取れるかどうか不安」は、入学時の期待で大きかったのが高卒資格を確実に取れるという点でしたし、高校生活を送る目標でもありますから重要な課題です。通信制高校は柔軟な仕組みにより入りやすい学校ですが、それだけに「入りたい学校」を見つけないと不満な点が目についてしまうかもしれません。
ほかの不満点は、高卒資格が確実に取れるかどうか不安に思う1つひとつの理由のようなものでしょう。「集中スクーリングがさほどおもしろくない」「登校日が思ったより多い」から高校生活を上手く続けていけるかわからなくて、高卒資格が取れるか不安というようなつながり方です。
●家庭環境を整えて不安解消しましょう
通信制高校はレポート学習による添削指導を中核に置いた個別学習なので、高校生活を続けていくためにはある程度の自律的な気持ちが欠かせないことになります。
そうは言っても、自律的な気持ちを続けることも意外に大変だと思います。そこで、通信制高校は生徒が学習に取り組むための支援を登校タイプ、授業形態、相談体制などさまざまな形で行っています。
ただ、選択肢が多様であったり、相談体制があったりしてもそれを行動に移すのは生徒本人ですから、そういう気持ちになれるように安定していることが大切です。
この実行を促すエネルギーを貯める場所は学校よりも家庭にありそうです。家庭で気持ちを整理したり、落ち着けたりできる時間が有効でしょう。
本人が家庭で快適に過ごし、家庭でエネルギーが貯まれば外での行動に結びついていくようです。
保護者の方の不満点として大きい「友だちがつくれない」というのも心配なことですが、そう見えるのは本人があえて友だちをつくらない気持ちになっている場合もあります。
過去の苦い人間関係がある場合は、それをくり返したくないという気持ちが優先して、他人とのかかわりをあえて絶っていることもあります。本音では友だちが欲しいのですが、他人との壁をつくっていることもあります。
保護者の方もあまり心配しすぎると、本人は「親の心配もしなければいけないのか……」と心のなかで悩みのタネが増えてしまうようです。本人が笑って過ごせる家庭環境がまずは効果がありそうですね。
※『通信制高校生徒・保護者アンケート調査』(2014年度、新しい学校の会)