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勉強と部活の両立を目指す生徒へ 入学時からあたたかい支援の手を差し伸べたい

本校にはスポーツ特待制度がある。中学での実績で内申点がプラスされるため、学力試験の点数が多少低くても合格となる。しかし入学後に配慮は全くない。他の生徒と同じ条件で扱われる。特待生は部活動では入学時から即戦力である。先輩と一緒に朝練、昼練も行う。土曜、日曜は朝から夕方まで練習。帰宅後は宿題等の提出物を仕上げるのが精一杯。大会等の試合が平日に入れば授業は欠席。勝ち進めば欠席も増えるので、ますます勉強は遅れていく。強いチームほどこのような悪循環に陥ってしまうのだ。

中間テスト1週間前、スポーツ特待で入学したバスケ部のT君が覇気のない暗い顔をして来室した。活発で明るいが、入学時から学力不足を心配されていた生徒である。本校はテスト一週間前から基本的には部活動は禁止である。しかし試合が近い部活や、実績を上げている部活ではテスト前も、テスト中も練習を行っている。もちろんT君は練習対象生徒である。T君は力のない声でつぶやいた。

「先生、俺授業が全く分からないんだ。黒板もただ写してるだけだからノート見てもわからないし。来週からテストなのにどうしよう」と。

特待生で入学しているために、部活を疎かにすることができなかったのだ。周りがテスト勉強をし始めた姿を見て、現実に気づき、焦りを感じ始めたのだろう。

「テストまではまだ1週間ある。T君はバスケを何時間もできるだけの体力や集中力があるのだから、諦めるのは早い」と励まし、すぐに担任に今の状況を報告した。担任もT君のことが気になっていたようで、T君と一緒にテストまでの勉強計画を細やかに立ててくれた。

計画表には「休み時間にわからないところを書き出し、昼休み、放課後に教科担当のところに行って補習をしてもらう。補習のプリントは毎日、夜必ず復習する」など、具体的にやるべきことがまとめられていた。たった一週間だったが、T君の努力が報われて、赤点は避けられたようだ。高校生活は勉強が第一であり、部活動が中心ではない。高校は赤点があると進級できない。赤点保持者は精神的にも不安定になりやすく早めに対応しなければ日常生活にも影響が出てしまう。部活を優先してしまっているために学力に不安を感じている生徒に向けて、入学時から隙間時間を有効に使った手厚い教科指導を行い、勉強との両立ができるよう配慮することが必要と感じている。


公立高校養護教諭 宮田笑美 先生