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2021年05月20日
ICT活用で出席扱い62% 「OJaC」が最終報告
ICTを活用した在宅学習や留学体験を提供するオンラインプログラム「OJaC(オージャック)」が5月20日(火)、昨年9月から半年間行われた事業に関する最終報告会をオンライン会議システム「ZOOM」で行いました。
この取組みは、不登校児童生徒の在宅学習サービスを提供する株式会社クラスジャパン学園が全国17自治体と共同で実施。経済産業省が推進する「未来の教室」プロジェクトの実証事業にも採択され、ICTを活用した学習活動での出席認定や成績評価を目指し、評価ガイドラインの策定も行っていました。
2020年9月からスタートし、今年3月までに17自治体から209名の児童生徒が利用。利用者は個別の状況に応じて複数の民間業者が提供するICT教材を活用し学習を行うほか、オンラインによる体験活動、留学、部活、HRなどにも参加しました。
報告によると、利用者の学習状況は、教材に取り組んだ回数を示すログイン数で月平均10.4回が最大。個別では月31回と、土日も含め毎日取り組んだ生徒も見受けられました。学習に取り組んだ時間数は月平均7時間51分が最長で、個別では139時間57分が最長となりました。
ログイン回数、学習時間ともに、スタートから1、2か月後の10月、11月がピークとなり、以降は若干の減少傾向が見られた様子。報告を行ったクラスジャパン学園代表の中島武さんは「長期間オンラインだけに限られたことに、若干の限界があったのかもしれない」と評価した一方で、月2回実施したオンライン体験活動の参加率は高く、最も参加者が多かった10月で海外体験に43名、国内体験に36名の参加があった報告しました。
出席扱い62%
学習評価は課題残る
今回のプログラムで実際に出席扱いを受けた児童生徒は62.6%(していない30.8%/検討中6.6%)と報告されました。「していない」とする理由の中には、利用生徒が実際に学校へ登校したとするものも多かったことから、実質的にはOJaCの活動を出席認定とできることへの評価は高かったものとされます。一方、学習評価に関しては19.1%(しなかった74.3%/検討中6.6%)で評価への差が開きました。しなかった理由としては「学習履歴ない・少ない」「学校の学習基準と異なる」「評価基準がわからない」などが目立ち、特に他の在籍生徒との公平性や評価基準そのものへの難しさが課題として見えた様子。
ただ、実施効果そのものに関しては、回答者の半数が「学校と保護者の関係構築向上」「生徒の学習意欲向上」につながったと評価しています。評価委員会の座長を務める信州大学准教授の林寛平さんは、特に保護者について「学校から見放されていないという感覚がもてたのでは」と評価しました。
「否定された」と感じさせないために
できるだけ評価を
参画する17自治体で組織されたガイドライン評価委員会は、OJaCでの学習活動における出席扱い、成績評価への参考となるガイドライン(Ver.1.0.0)をまとめました。ガイドラインは「明確な基準を設けるものではなく、あくまで個別の生徒、地域の実情に応じて扱われるもの」としたうえで、出席扱いに関しては「ログインだけでなく一定の学習活動がみられる」「双方向性による適切な指導が提供される」ことなどを一定の評価材料としています。学習評価については、学力の3要素への評価を前提としたうえで、「知識・技能」「主体的に学習に取り組む態度」に関してはOJaCが提供する教材が評価材料となるとしました。一方で「思考・判断・表現」に関しては、ICTを用いた在宅学習では完結できないため、具体的な評価材料を定めていないとしました。
ICTを活用した学習活動が学校の出席扱いや学習評価に反映されることは、すでに文部科学省の通知によって認められています。今回のガイドラインは文科省の通知内容を十分に踏まえたものとなっています。しかし、個別の評価は捉え方が各学校や教員によって多様であり、一方で他の生徒との公平性も担保していかなければいけません。評価そのものは各学校の判断に委ねられるものの、林さんは「基本的には頑張ったものをなるべく評価してあげてほしい。何も評価してあげないことは、それ自体を否定されたと感じてしまい、利用者の意欲向上を妨げてしまう」と留意点を伝えました。
今回のガイドラインなどがまとめられた最終報告書は、今後、全国の各都道府県、市区町村の教育委員会に配布される予定。活用については「子どもの実態や地域の事情に合わせて自由に改変して活用してほしい。その後、活用事例を知らせてもらい、改訂を重ねて、より公平・公正で活用しやすいものにしていきたい」としています。
●OJaC提携17⾃治体
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