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2019年01月26日
起立性調節障害(OD)の進路フォーラム(愛知・名古屋)
朝起きられない、午前中の体調が悪いなど、思春期に発症しやすいとされる病気「起立性調節障害(OD)」への理解と進路について考える「10代の起立性調節障害 進路支援フォーラム」が、1月26日(土)、愛知県名古屋市の名古屋ガーデンパレスで行われました。この日、岐阜大学教授で小児科医の加藤善一郎さんの講演のほか、ODへの理解やサポート体制のある通信制高校による個別進路相談会も行われ、OD患者やその傾向のある子どもや保護者、教育関係者など約120名が集まりました。
起立性調節障害はその症状の特徴から、学校生活では怠惰や情緒的問題と誤解されることが多く、そうした周囲の無理解により、いじめや不登校を引き起こす要因ともなっています。講演を行った加藤さんは、起立性調節障害の症状の特徴や治療の流れ、患者の持つ困り感などを解説。また、ADHDなどの発達特性との関連や学校へのアプローチの仕方やなども詳しく紹介しました。
特にOD患者の子どもたちには、自分は大丈夫だと安心を感じられる「だいじょうぶ感」の必要性を指摘。「だいじょうぶ感」とは、いわゆる「これができる」「自信がついた」というような自己肯定感といったものとは違い、「理由はともかく何だかOKだ」と感じられるもの。それらはODへの理解、家庭環境、学校との関係、自然との関りといった周囲の理解や環境から得られるものだと解説しました。一方で加藤さんはミヒャエル・エンデの小説『モモ』の時間泥棒を例に出し、「親は将来や進学のための時間ではなく、子どもの“今”の時間を奪わないでほしい。同時に親自身も自分の“今”の時間を大切にすることが大事」と、子どもへのアプローチも大切だが、一番良いのは保護者自身が自分で新しいことを始めることだと話しました。
また、講演後の質疑応答では来場者からたくさんの質問が飛び交いました。「今使っている薬が合わない」「どのような病院に行けばいいのか」「進学先はどのような学校が良いか」など、来場者それぞれの切実な状況が話され、加藤さんも一つひとつの質問に丁寧に答えられました。
加藤先生の講演後はODへの理解やサポート体制のある通信制高校、サポート校の紹介と、各学校との個別相談も実施されました。来場者からは「体調への配慮や柔軟な対応ができる学校」「登校回数を自由に選べる」「体調を考慮しながらも大学受験には備えたい」など様々な要望が寄せられ、各学校の先生が相談に応じました。ひと言で起立性調節障害と言っても、その症状や状態、また個々の希望や目標は様々です。通信制高校やサポート校の特長も多様化しており、本当に自分に合った学校選びが大きなポイントになります。この日、来場者の多くが先生方の説明に真剣に耳を傾け、たくさんの情報を得て会場を後にされた様子。
『マンガ 脱・「不登校」~起立性調節障害(OD)克服と「だいじょうぶ感」をはぐくむ~』