新着情報
2026年08月12日
中学校と高等専修学校の教員が「進路」について議論/東京都中学校高等専修学校進路指導協議会
8月5日(水)、アルカディア市ヶ谷 私学会館(東京都・千代田区)にて「令和8年度 高等専修学校進学研究会(第40回 中専協夏季研究協議会)」が実施されました。

中専協(東京都中学校高等専修学校進路指導協議会)では、東京都内の中学校教員と高等専修学校の教員が協力して中学生の進路についての研究などに取り組んでいます。
毎年、夏季研究協議会を実施しており、事例報告などを交えて互いの生徒の実情や進路状況などについて情報を共有。今年度は初めて中学校教員と高等専修学校教員がグループになりディスカッションを行う時間も設けられていました。
開会挨拶を行った佐藤圭一会長は、中学卒業後の進路選択が多様化している状況のなか、教員側の進路指導における知識の重要性について言及。
「中学校の先生方は、ぜひ、高等専修学校での学びや生徒たちの様子を聞き、子どもたちからの疑問について発信してください。そして、持ち帰った知識をぜひ学校で伝達していただければと思います」と期待を寄せました。

福田潤副会長は「AIが得意とする知識の処理というものを超えて、自ら手を動かし、現場で考え、専門性を磨く。この経験こそが、これからの時代に揺るぎない力となります。本日の研修会を通じて、職業教育によって個性を開花させるという、高等専修学校の可能性を感じていただければと思います」と述べました。
また、この日は来賓として文部科学省専修学校教育振興室の真保洋室長と、前参議院議員の赤池誠章さんも列席。
真保室長は、高等専修学校が制度の柔軟性を活かしながら、実践的な職業力を中心に多様な学びを提供する場としてあり続けることに期待をかけました。
赤池さんは、キャリア教育の場としての高等専修学校に注目し、職業体験などの実践的な学習において、中学校と高等専修学校の交流が進むよう働きかけを進めるとしました。

続いて、本協議会の相談役を務める堀居英治さんが登壇し、中専協の40年を振り返りました。
堀居さんは、高等専修学校の生徒層の移り変わりをはじめ、補助金や通学定期券など全日制高校との格差解消の交渉や、独自の体育大会(全国高等専修学校スポーツ大会)の開催など、高等専修学校の歩みについて解説。最後に、中専協の元会長で現在、東京音楽大学の客員教授を務める関本惠一氏からのお祝いと今後への期待のこもったメッセージを伝えました。

その後、東京学芸大学 伊藤秀樹准教授が「『高校』とは何が違う?~0からわかる高等専修学校~」と題した講演を行いました。

講演の前半では、高等専修学校の制度や概要について解説。
高等専修学校の特色として、週5日の投稿で体系的な専門教育を受け、調理師や美容師などさまざまな「仕事に活かせる資格を取得できる」ほか、エンターテインメント系やクリエイター系での就職を目指す授業内容を展開し、「夢の実現をサポートする」という点が説明されました。
また、高等専修学校生の約4分の1に不登校経験があるとし、そのうち入学後に約85%の生徒が改善傾向に向かっているというデータを提示。高等専修学校が「不登校経験者の自立を支える」という役割を担っているとしました。
また、高等専修学校は「多様な個性のある生徒の自立を支える」という側面についても言及。
なかでも、合理的配慮が必要となる生徒は約3割、配慮が必要な生徒が4分の1以上在籍している学校が約2割ある現状に触れ、障害の有無にかかわらず同じ教室でともに学ぶインクルーシブ教育を取り入れている学校の事例を紹介しました。
講演途中には、都内高等専修学校3校の教員が登壇し、各校の具体的な実践事例が紹介されました。
調理師・製菓科をもつ織田学園中野高等専修学校(中野区)は、調理実習をはじめ製菓や食品加工などさまざまな実習科目を取り入れたカリキュラムについて説明。普通科目は基礎から行い、系列の専門学校をはじめ大学や短大など多様な進路選択が行われている状況についても紹介しました。
美容師資格を取得できる、すず学園高等専修学校(大田区)は、最新の設備による実習のほか、1学年1クラス32名という少人数編成や、スクールカウンセラーへの相談体制など、手厚い指導体制について取り上げました。
芸術高等課程をもつ東京表現高等学院 MIICA(江戸川区)は、総授業の約80%を専門分野学習で占めており、デザインや映像制作などの「クリエイティブ系講座」をはじめ、「プランニング/プロデュース系講座」「キャリア教育系講座」などの豊富なプログラムを紹介しました。
後半は、グループディスカッションの時間が設けられました。中学校の教員からは、入試や制度に関する質問のほか、時間割や進路に関しての学校ごとの特徴、不登校経験や特性のある生徒の受け入れや具体的な支援体制など、多くの質問が投げかけられ、活発な議論が交わされていました。

全プログラムが終了し、最後には参加者からの講評も行われました。中学校の教員からは「勉強や人間関係などさまざまな理由でつまずいた生徒にも、いろいろな選択肢を見せられるようにしていきたい」「高等専修学校を知らない生徒や家庭がまだたくさんいるので、我々のほうから提示していければと思う」といった感想が寄せられました。

東京都の学校独自の取り組みとして40年続いてきた夏季研究協議会。今回も、中学卒業後の進路について、中学校、高等専修学校が互いに見識を深める研修会となっていました。
▼高等専修学校も参加!学びリンク合同相談会のご予約はコチラから




















