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ベネッセ高等学院
2026年08月31日
生成AIを活用した不登校児童・生徒の「主体的な学び」を支える実践研究をスタート/ベネッセ高等学院(全国・サポート校)
ベネッセ高等学院 中等部(全国・サポート校)は、ベネッセ教育総合研究所と連携して行った、不登校生徒の学びの支援に生成AIを活用する実践研究の成果を8月20日に発表しました。
報道関係者向けの説明会には、ベネッセ高等学院の上木原孝伸学院長と、ベネッセ教育総合研究所の野﨑友花主席研究員が登壇。


前半は、上木原学院長が「不登校支援の今 『主体的な学び』の支援と課題」と題し、研究の背景となる中高生の教育の現況を説明しました。
小・中学校の不登校児童生徒数は年々増加し、令和5(2023)年には35万人を超えました。
増加の背景として、上木原学院長は、不登校の児童や生徒の学習活動に対する支援を行う公立の教育施設の整備などを定めた「教育機会確保法」の成立や「一律な教育と実社会の乖離」、自宅で学べる環境が増え、あえて学校に行かない選択をする「積極的不登校」という3つの要素を挙げました。
また、多様な学びの充実や、一人ひとりに応じた学習支援の重要性がこれまで以上に高まっているなか、ベネッセ高等学院の取り組みとして、担任や「赤ペンメンター」によるWサポート体制などが紹介されました。

後半は、野﨑研究員により、「AIによる不登校支援の可能性〜自己調整支援の研究から見えてきたこと〜」の発表が行われました。
今回、研究の対象となったのは、生徒自身が学習計画やその日の体調、学習成果などを記録する「Beログ」。生徒が書いた内容に対し、普段は教員が毎日スタンプでリアクションを行い、2週間に1回コメントを記入しています。Beログは毎日書く生徒もいれば、書いたり書けなかったりする生徒もいるとのことです。
これまでのアンケート結果で、生徒のモチベーションが教員の声かけによって向上することが明らかになっていましたが、毎日の長文でのフィードバックは教員に負担がかかりすぎる点が課題でした。
そこで、ベネッセ教育総合研究所では、生成AIを活用した生徒へのフィードバックが、生徒自身による自己調整学習の助けになることを期待し、研究を実施。2週間の検証を行いました。
検証では、生徒は朝に「今日の計画」、夕方に「今日の振り返り」をBeログに入力後、WebアプリからAIによるフィードバックを受け取りました。AIの返答の内容によって、生徒を「①記述内容には応じずに定型の挨拶を提示する群」「②記述内容を踏まえて次の記録へのヒントを提示する群」「③記述内容を踏まえて例文や具体案まで提示する群」の3つグループに分けています。
検証の結果、朝・夕ともに、②ヒント提示群と③例文提示群では、計画や振り返りの内容を1つ以上書けた日の割合が、①挨拶のみ群より高い値を示したそうです。とくに夕方の振り返りでは、挨拶のみ群の64.6%に対し、ヒント提示群は94.3%、例文提示群は94.6%と大きな差が見られました。
また、ヒント提示群・例文提示群で、「何をしたか」や「自分はどうだったか」といった、内容を具体的に書いた日の割合も、挨拶のみ群より20%前後高くなりました。
また、生徒の記述内容を「体調、気分、集中、理解、進捗、成果、課題など、自身の状態や取り組み方を把握・評価しているか」という観点から点数化し、推移を分析。朝の計画の質は、例文提示群では期間中に上昇が見られた一方、挨拶のみ群では低下しました。
野﨑研究員は、「自己調整は大人にとっても難しいこと。AIのフィードバックという観察・真似するためのモデルを示すことで、学習計画や振り返りという生徒たちにとっての自己調整の最初の一歩を支えられたのではないでしょうか」と、AIが生徒に答えを与える存在としてではなく、伴走者として活用される可能性を示唆しました。


質疑応答では、参加者から多くの質問がなされました。
教員による指導との違いに関する質問では、「AIによるフィードバックでは、学習面での工夫や学び方の改善など、深い振り返りが書かれていませんでした。ですので、1カ月間や1学期など、中・長期的な振り返りでは教員のアドバイスが必要になると考えています」と、教員ならではの生徒支援の必要性についても言及がありました。
今後は、自己調整に関する長期的な変化・定着、支援量の最適化、人による支援との組み合わせを検証しながら、生成AIによる学習支援の導入を目指していくとのことです。
(取材・文/学びリンク編集部 中曽根茜)
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