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椎名雄一先生コラム『不登校に効く心理学の話』36
お子さんの段階に合わせたメッセージを

 2024年1月15日

 


カウンセリング室の椎名雄一です。
日々皆さんとメッセージのやりとりをさせていただいたり、カウンセリングをする中で気づいたことや傾向などをこのコーナーでお伝えしています。

保護者会を始めて、2年半が経ちました。
保護者の皆さんと「部屋から出てこない場合は?」「元気だけれどゲームしかしない場合は?」「親子の関係が悪い場合は?」「親族が理解がない場合は?」・・・と話をし続けて見えてきたことがあります。それは「タイミングが合うと一気に変化する」ということです。

そっとしておいて欲しい時期に
「今日はどうするの?」と毎日声をかけていたら当然気持ちが休まらないので状況は変化しませんね。「1日1回、崖下に突き落とされるようだ」と言っていた子がいたのが印象的です。

自信をつけたい時期に
「これができていない」「出席日数がやばい」と言われたらやっぱり上がれません。でも、「スマホの使い方教えて」とか「これ一緒に手伝って」といって役割ができて「ありがとう」と伝えることができたら自信がアップします。(注意:役割の作り方にはコツがあります)

タイミングの見極めとそれにフィットした対応ができると一気に状況が変わります。なかなか変化しない大きな原因は良かれと思って周りが燃えかかっている火種に水をさしている体といえます。

それぞれの段階は
「不登校ひきこもりから抜け出す7つのステップ」(出版社:学びリンク)に書いてありますのでここでは省略しますが、ある程度元気になってきたお子さんに伝えておきたいことがあります。

なぜ「規則正しい生活をしろ」と大人は言うのか?

「朝が来たから起きるのが当たり前」と習慣になっている人は労力はほぼ0で起きます。
「朝食を食べて、歯を磨くのが当たり前」の人も同じです。労力はほぼ0です。
「学校や仕事に行くこと」「部屋を片付けること」「社会と関わること」「お風呂」全部が習慣化している人にとっては労力はほぼ0です。スマホをチェックするのが習慣化されている人がスマホを取り出して、表示する労力がほぼ0なのと似ています。

逆に「意味ないじゃん」「何のために?」「無駄」という人たちは毎回「今日はディズニーランドだから起きよう」「今日は、、、えっと、、、」と1年に365回思いつかないといけません。全部に意味をつけるほうが非効率だと気づいていないからです。

「朝起きるのが当たり前」と習慣化できている人は労力0で朝の用事を済ませて、勉強モードや仕事モードになれます。そこから「意味があること」をやるのです。

これらは選択することができます。

1ヶ月くらい同じパターンを繰り返すとその行動は習慣になって、「当たり前」になります。つまり労力0でできるようになります。スティーブ・ジョブズは洋服を選ぶ労力も0にするためにいつも同じ服を着るようにしていました。本当に意味があることにエネルギーをとっておくためです。

学校や会社に着いた時点で「意味づけで疲れ果てた人」と「労力0で辿り着いている人」では勝負になりません。お子さんが不調の間はいわゆる正論は避けたほうが良いですが、元気が出てきたら論理的に伝えることは大事だと思います。(「そういうことになっているんだ」というような伝え方はあまりうまくいきません)タイミングの見極めや上手な伝え方は保護者の関わりの中で出てきます。ひとりで戦わずに保護者同士、大人同士が協力し合うことが攻略のコツと言えます。「何で勉強しなくてはいけないの?」「なんで、、」に適切に答えられるような準備をしておきたいですね。