学びリンクで働く!元不登校・通信制高校卒業生のつぶやき
1:不登校「389万人」に、私がほっとする理由
2023年1月16日
今回からコラムを始めます、学びリンク編集部の柳野です。
通信制高校の専門出版社「学びリンク」に新卒で入社して10か月。
そんな私は、小中学校で不登校を繰り返し、通信制高校を卒業した一人です。
通信制高校の卒業生が通信制高校の専門出版社で働く!?
なんかおもしろいですし、そんな時代がきたのかと感じます。
しかし、そんな時代をずっと前から築かれてきた方がいます。不登校経験者で、現在、NPO法人全国不登校新聞社の代表理事を務めている石井志昂さんです。
昨年秋に取材で初めてお会いすることができました。私のロールモデルでもある石井さんに、私は取材の中でこんな質問をしました。
私:以前より不登校当事者の声が世間に広まってきたと感じますが、石井さんご自身はどう感じられますか?
石井さん:確かに当事者の声をよく聞くようになりましたね。また、不登校経験者が活躍する場も増えていっています。私たちの「不登校新聞」をつくる人たちの中にも不登校経験者がいますし、企業で人事権を持つ人たちが不登校経験者だったり、不登校の親だったりしますしね。不登校の数が多くなることによって、世の中の不登校への理解度は増していくのだと思います。
この時の石井さんの言葉に思いを巡らせるきっかけとなったのが、この年末年始に観た、小説家辻村深月さん原作の映画「かがみの孤城」でした。
主人公は学校で居場所をなくし部屋に閉じこもっていた中学1年生。ある日突然部屋にあった鏡が光り出し、中に入ると見ず知らずの中学生6人が…。狼のお面をかぶった女の子が現れ、告げられたミッションに7人で挑むストーリーです。
この映画を観て感じたことは、「理由はそれぞれ違うけれど、不登校だった子どもたちはずっと前からいる」ということ。石井さんの言葉をやっと現実として想像できた瞬間でした。
そして、ふと思ったのは「これまで不登校を経験した子どもたちを合わせたら、どのくらいいるのだろう…」ということでした。
文部科学省が毎年出している不登校児童生徒数を、単純に過去30年分で合計してみたら、その数は389万5173人。
もちろん、継続して不登校の子どもたちもいるので、これはあくまでも延べ人数ですが、世の中には今、およそ390万人もの不登校経験者がいるということになります。この数をどう捉えるかは人それぞれです。でも、私にとってこの数は、「同じ不登校という境遇を経験した仲間がこんなにもいる」という一つの指標となり、私をとても心強くさせるのです。
それは、今でも不登校当事者や経験者と出会うと、心のどこかほっとする自分がいるからです。そして、私にとって不登校や通信制高校での経験は、今の自分自身を形成する大事な一つでもあるからです。
これらの経験が今後の自分にどう生きていくのか、そして学びリンクで働く中で、今の不登校や通信制高校について感じたことを、コラムを通して伝えていきたいと思います。
どうぞ、今後ともよろしくお願いします。