「気になりますね!通信制高校」
通信制高校の“実力”③「通信制高校の進路決定率はどうなっているの?」
2021年1月8日
◇◇通信制高校の“実力” 第3回 通信制高校の進路決定率はどうなっているの?◇◇
◎公私間、学校間で異なる進路実績通信制高校卒業後の進路はどうなっているのか-。とても気になるところですね。
まず、2019年度(20年3月卒業生)の通信制高校全体の卒業後の進路をご紹介しましょう。
《卒業後の進路》 | ||||||
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合計 | 大学等進学 | 専門学校進学 | 公共職業能能力開発施設入学 | 就職者等 | 左記以外の者 | |
通信制高校全体 | 60,691 | 10,688 | 15,199 | 589 | 14,035 | 19,612 |
100.0% | 17.6% | 25.0% | 1.0% | 23.1% | 32.3% | |
公立通信制高校 | 8,042 | 940 | 1,157 | 82 | 2,166 | 3,590 |
100.0% | 11.7% | 14.4% | 1.0% | 26.9% | 44.6% | |
私立通信制高校 | 52,649 | 9,748 | 14,042 | 507 | 11,869 | 16,022 |
100.0% | 18.5% | 26.7% | 1.0% | 22.5% | 30.4% | ※上段:卒業者数、下段:構成比 出所:学校基本調査(文部科学省) |
全体の傾向としては、進学率(大学等進学、専門学校進学)と就職率が伸びています。代わって、進路未決定者(上記表では「左記以外の者」)が減少する傾向にあります。
16年度(17年3月卒業生)と20年度を比べると、進学率39.4%→42.6%、就職率19.6%→23.1%、進路未決定率38.5%→32.3%となっています。数字からは、昨年度までの好景気、人不足のなかで高校卒業生求人が好調で就職率が向上したと読み取れます。この点は、このコロナ禍により今後は不透明になった面があります。
また、公立校と私立校によって異なる面があります。進学率は、公私では26%対45%と開きがあります。卒業者数にも開きがありますが、これは公立校は4年間かけて卒業する生徒も多いのに対して、私立校はほとんどの生徒が3年間で卒業していることを反映した結果です。
昨年10月にこのメルマガでご紹介した「通信制高校生徒・保護者アンケート調査」から卒業後の進路希望を見ると、進学希望が高い傾向にあります。進学希望(大学、短大、専門学校、留学)が生徒で55%、保護者では58%となっています。このアンケート調査は、私立通信制高校18校の生徒、保護者に対して行われているため、上記の進路実績よりも進学希望が高い傾向となっています。
通信制高校の卒業後の進路は、公私間で異なり、また学校間でも異なる面があります。
◎“将来”から逆算して進路実績を見ましょう
卒業生の進路がどうなっているのかは、学校を選ぶうえで重要なデータとなります。進路を確定している卒業生が多いのは在学中の進路指導のたまものでしょう。大学合格実績が高ければそれだけ在学中の進学指導がよかったのでしょうし、就職実績が高ければ企業との人脈などのパイプが太いものと思われます。
ここ数年の傾向としては、進路実績を発表する学校が増えています。私立通信制高校のなかには進路実績を地域別、学習センター別にまとめて発表している学校もあります。 進路実績は、いわば過去の“他人事”ですから自分の身に置き換えるためにはどんな卒業後をイメージするかも肝心かもしれません。なかなか先のことは描けないかもしれませんが、将来のやりたいことから逆算して進路実績を見れば“自分事”としてその実績を感じることができる場合もあります。
一方で高校卒業後すぐにではなく、いったんアルバイトなどで働いてみるという人もいます。それから次の進路を決めるという人もいます。こういう人たちは統計上進路未決定者にくくられますが、時間をかけて何かになることを目指す人です。こういうことができることも忘れないようにしてください。
通信制高校のなかには、卒業から社会に出るためのギャップを埋めるために社会人として基礎力をつける進路として二年制の専攻科や一年制の別科を自校内に設けている学校もあります。また、同じように基礎力をゆっくり養うため「5年制コース」を開設している学校もあります。
今回は、「通信制高校の進路決定率はどうなっているの?」についてご説明しました。
次回からは新シリーズ「通信制高校と不登校」についてご説明します。
次回もよろしくお願いします!