「気になりますね!通信制高校」
通信制高校生ってどれくらいいるの?②
増えたり、減ったり、その理由はなに?
2022年9月30日
◇◇「通信制高校生ってどれくらいいるの?」(3回連載)
第2回 増えたり、減ったり、その理由はなに?
◎東京の生徒減って、なぜ?このシリーズ1回目で文部科学省の生徒数調査(学校基本調査)で、通信制高校生徒数が約24万人と前年度から約2万人も増えて過去最高になりました。と、報告しました。
この調査は通信制高校全体の生徒数とともに、もう一つ、都道府県別の生徒数がわかります。
都道府県別では、今年度は前年度に比べ42都道府県で生徒数が増加しました。5県が生徒減となっていますが、1割以上減少している県はありません。
また、18道県が3年連続で生徒増となっている一方、3年連続減少しているのは2県に過ぎません。いかに全国的に通信制高校生が増加しているかがわかります。
下の表は、通信制高校増減を見た4年比の表です。
減少数の大きい都道府県になんと! 東京都がトップで入っています。
都道府県統計を見る場合、通信制は全日制や定時制と少し異なる見方が必要になります。
A県の生徒数が統計上増減したからと言って、必ずしもA県在住生徒の増減があったとは限らないという点です。
まず、上記の「4年比」の意味をご説明すると、例えば高校が新設されると生徒数は学年進行で増えます。開校時は1年生だけ、翌年は1年生と2年生、翌々年3学年そろいます。3学年そろった段階を“完成年度”と呼んでいます。
単位制・無学年制がほとんどの通信制高校の場合も、流れとしては上記のようになります。新設校なら3年間は継続的に生徒が増え、本格的な卒業生数が出た後の4年目の増減で一つの学校評価となるという見方です。
4年比の生徒増加数トップは茨城県、次いで沖縄県、奈良県などといった結果になっています。
一方減少数は、東京都、佐賀県、広島県などとなります。
東京都の減少数が一番多いというのは、やはり「?」ですね。
種明かしをすると、この統計でいう東京都とは、東京都設置・認可の公私通信制高校に在籍する生徒数を指しています。 東京都の場合は、都独自就学支援金の対象校が約100校となっているように、他道府県の広域通信制高校の多くが入学エリアとして、またサテライト施設も開設しています。4年比で見る生徒増の道県は、東京都在住の生徒が増えている面もあります。 東京都在住の通信制高校生徒数は、この間に大きく増えたと推測されます。
◎通信制に欠かせない情報発信力
4年比の表で、増加傾向のある県と減少傾向にある県で目立つのが広いエリアから生徒が入学できる広域校の学校数です。 増加傾向にある道県は、広域校が一定の割合を占めているのに対して、減少傾向にある都県は、東京都を除き広域校が開設されていない県が目立ちます。
広域校の特徴は、サテライト施設を持っている点にあります。サテライト施設の分類にはスクーリングができる施設(面接指導等実施施設)と、サポート校などの施設(学習等支援施設)に分かれますが、持っている機能として重要なのは「情報発信」です。
多様な学びのできる通信制高校の場合は、この情報発信機能が欠かせません。広域校は、本校数こそ全国で約110校に過ぎませんが、そのサテライト施設数は約3,000か所になります。このサテライト施設の日常的な保護者・生徒の皆さんをはじめ、中学、高校への情報発信が通信制を浸透させているのだと思います。
多様であるというのは、半面で自分に合ったかみ砕いた情報を手に入れることが選ぶためには大切です。サテライト施設の存在は、そのかみ砕いた情報発信の拠点になっています。
今回は、「増えたり、減ったり、その理由はなに?」についてご説明しました。いかがだったでしょうか?
次回は、「2023年4月開校予定はどこが○?」についてご説明します。
次回もよろしくお願いします!