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「気になりますね!通信制高校」
通信制高校生ってどれくらいいるの?③
新設校の特徴から見た生徒増の背景

 2022年10月14日
 

◇◇「通信制高校生ってどれくらいいるの?」(3回連載)
第3回 新設校の特徴から見た生徒増の背景

最初に読者の皆さまにお詫びするのですが、本シリーズ第3回の今回は「2023年4月開校予定はどこが○?」と来年度に開校する通信制高校の特徴をもとに報告するつもりだったのですが、まだ情報がそろわない学校もあります。
そのため今回は「新設校の特徴から見た生徒増の背景」というテーマでご説明します。
23年4月開校の学校については、改めてご説明しますのでご了承のほどお願い致します。

◎私立校7割の個性派集団

通信制高校の生徒数が増えてきたのは、学校数が増えていることも要因の一つです。
次の表は、過去10年間の公私通信制高校の開校数推移と来年度の開校予定数です。ご覧のように増えているのは私立通信制高校です。



通信制高校の公私内訳は、今年度で見ると公立約3割(78校)、私立約7割(195校)となっています。全日制高校はこの比率が逆転して公立約7割(3,321校)、私立約3割(1,316校)の構成となっています。定時制高校はほとんどが公立校(公立602校、私立26校)です。
全定通3課程の中で唯一私立高校の比率が高くなっているのが通信制高校の特徴となっています。

公立通信制高校は、当該都道府県の中高生を対象に希望者全てに高校教育を付与することを目的としています。

一方の私立通信制高校は、それぞれの創立理念に基づいて学校ができています。私立校が約7割を占める通信制高校は、創立理念の異なる学校の集まりでもあります。
「不登校経験者にも配慮した個別学習指導を実践」「英語・留学に力を入れ国際化時代に対応できる個性の伸張」「専門教育と普通科の教育を併合し、長所発展のもと人材を育成」などの創立理念のもとに、一校一校がとても個性的な学校と言えます。

◎広域・狭域、独立・併置。分類から見た新設校

このシリーズ2回目でもご説明したように、通信制高校の学校数は全日制、定時制に比べ少ないのですが、通信教育を教育手法とする通信制ならではの特徴があります。それが「広域制」という広いエリアから入学できる仕組みです。

「広域制通信制高校」略して広域校は、本校数こそ全国で115校に過ぎませんが、そのサテライト施設数は約3,000か所になります。
このサテライト施設の日常的な保護者・生徒の皆さんをはじめ、中学、高校への情報発信が通信制を浸透させているのだと思います。

次の図は、その広域制と狭域制の過去3年間の推移です。「狭域制通信制高校」略して狭域校は、本校所在地と隣接都道府県の2県以下を入学エリアとしています。



広いエリアから入学できる広域校のほうが、通信制のメリットを活かせるのではないかと思われるのではないでしょうか?
そういう面はありますが、今年度、来年度新設校の内訳を見ると広域校、狭域校の開設数はほぼ同じです。

これはなぜか? と、言うと通信制高校を分類するもう一つの要素を掛け合わせると見えてきます。
それが「独立校」と「併置校」という見方です。

独立校は通信制課程のみを置く高校。併置校は、通信制課程と全日制や定時制課程の2つ以上の課程がある学校です。
広域・狭域制とこの独立・併置校を掛け合わせると、広域校はほぼ独立校(通信制課程のみ)、狭域校はほぼ併置校(通信制+全日制)という組み合わせになります。

次の図で見るように併置校も増えています。併置校が増えているのは、全日制課程ではフォローできない生徒が目立ってきたことも背景にあります。せっかく入学した生徒が全日制の仕組みで苦戦してしまうなら、通信制の柔軟な仕組みを活用して卒業まで送りだそうという面もあります。新設校の一部には、外部募集を行わない学校もあります。

また、全日制課程として持っている校舎をはじめとした施設を有効に活用しようとする面からは通学エリアをある程度限定したほうがよい場合もあるようです。





今回は、「新設校の特徴から見た生徒増の背景」についてご説明しました。いかがだったでしょうか?

次回からは新シリーズ「新刊書籍から考える不登校対応」についてご説明します。
新シリーズもよろしくお願いします!