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「気になりますね!通信制高校」
通信制高校人気! 実際どんな高校が人気なの?①
「300校・30万人」の通信制高校時代

 2024年9月18日
 

◇◇通信制高校人気! 実際どんな高校が人気なの?(3回連載)
第1回「300校・30万人」の通信制高校時代

◎伸び盛りの通信制高校

今回のタイトルは、“「300校・30万人」の通信制高校時代”。学校数と生徒数を表しています。 大半の皆さんにとっては、だから何? という感じだと思います。
一方、長く通信制に関わってきた方々には感慨深い数字です。通信制もここまで来たのかぁ…と、一様にこれまでの来し方を思い浮かべることでしょう。

今、通信制高校は伸び盛りです。偏差値によらない学校選択のできる通信制高校は、比較的自由に自分に合った学校を選べます。やりたいことがあればそれに合わせて、それがないならないなりに選べます。
それに応えるように新しい学校や既存校の新しいコースが誕生しています。今回のシリーズではそんな新しい動きをもとに人気の背景を探っていきます。

まず、通信制高校の最新データからご紹介します。生徒数などは、毎年文部科学省が学校基本調査として発表しています。
この8月末に発表された2024年度の通信制高校在籍生徒数は、29万118人となり前年度に続き過去最高を更新しました。23年度から約1割、約2万5千人の生徒増がありました。この人数は5月1日現在で、年度内に転編入生が加わるのが通信制の特徴ですから年度末には30万人突破が確実と見られます。公立校は3年連続、私立校は28年連続の生徒増となりました。




学校数は初めて300校を超え303校(公立校79校、私立校224校)となりました。中学卒業後の進学先として生徒数、学校数ともに拡大しているのは通信制高校だけになっています。
上の表1、表2で見るように高校生の11人に1人が通信制高校生となり、私立高校生に限っては5人に1人が通信制高校生となりました。

◎高校ABCエリアに、Dが加わる




私は、現在の高校はABCの3つのエリアに分かれていると思っています。

A公立高校エリア:全日制、定時制、通信制(公立通信制高校はこのエリアに入ります)

B私立全日制高校エリア(私立定時制も含みますが26校と少ない)

C私立通信制高校エリア

一番大きいのは、公立高校Aエリアです。公立通信制高校はAに入ります。生徒数も高校生の約6割を占め中学までと同様の校舎施設を持っています。
設置者の意向で全日、定時、通信を組み合わせることもできます。例えば、25年度には愛知県に4校のフレキシブルハイスクールと称する県立高校が開校します。全日・昼間定時・通信の3課程併置、各課程併修が可能です。こういう学校づくりをやろうと思えばやれます。

次にBは私立全日制高校です。
高校生の約3割の生徒を抱え、公立全日制とは異なる方向を各校が目指してきたと思います。

Cが私立通信制高校です。ここ数年は、中学卒業後の進学先のなかで唯一生徒数が拡大していて存在感を増していますが、ほかに比べると小さいエリアです。

このABCの高校エリアのなかに、Dが入って来ているというのが私の見る最近の傾向です。
Dは私立通信制併置校というものです。私立全日制高校が新たに通信制課程を新設するというパターンです。同じ学校に全日制と通信制の2課程ができます。

◎併置校増加!? これからの可能性は?

併置校が新設される背景は、大きく分けると次の2つです。①全日制に入学したが毎日の登校などが難しくなり、柔軟なしくみの通信制へ転籍し同じ高校で卒業まで過ごさせたい、②それまでの全日制と異なるタイプの生徒を通信制で受け入れたい、ーなどです。

いずれにしても、時間の制約の少ない通信制高校のしくみによってさまざまな生徒対応、学校づくりが可能になるという理解が学校設置者に広まっているのだと思います。
この併置校が拡大してきた背景のなかにも通信制高校の生徒数が増えてきている要因が見られると思います。生徒が時間を自分の都合に合わせられるほうが生徒にとってメリットが大きいのです。




併置校新設数の推移を見ると、最近の急増ぶりがわかります。制度が始まって1990年以前は4校しかありませんでした。その後10年刻みで見ると、91年度から2000年度までに12校、2010年度までに26校、2020年度までに18校という経過をたどってきました。

それが、ここ5年間は急増しています。21年度(2校)、22年度(7校)は新設校すべてが併置校でした。23年度、24年度は9校ずつ開設され、25年度は11校が予定されています。5年間累計で新設53校中38校と約72%が併置校となっています。

併置校のほとんどは、全日と通信で別々の校舎などを設けることで生徒が混ざり合わないようにしています。大半の高校ではこれを“工夫”と考えています。生徒間にも混ざり合いたくないという意識がある場合もあります。

この一方、まだ一部ですが両課程の生徒が部活、課外講座、一部授業を共有して成功している高校が現れました。例えば吹奏楽部や野球部などある程度の人数必要とする部活は両課程の生徒で大会出場などを果たしています。
この高校の生徒に話を聞くと「同じ高校の違うルールで学んでいる生徒同士」とお互いを認め合っています。

違うルールを認め合うことは、とかく優劣をつけてしまいがちな学校教育のなかでは戦略的な課題になりますが、生徒が混ざり合う方向のなかに併置校の面白さがあるように思います。

今回は、『「300校・30万人」の通信制高校時代』についてご説明しました。いかがだったでしょうか?

次回は、「通信制増は女子生徒が支える!?」についてご説明します。
よろしくお願いします。