「気になりますね!通信制高校」
150人に聞いた通信制高校のあれこれ①
夢実現のために働いています
2024年11月19日
◇◇150人に聞いた通信制高校のあれこれ(4回連載)
第1回 夢実現のために働いています
私は、学びリンク・通信制高校合同相談会の「体験談を聴く会」というコーナーで、通信制高校の在校生・卒業生から学校を選んだきっかけや学校生活の様子、これからの進路などを聴いています。1年間で延べ150人ほどになります。在校生や卒業生は、答えづらい質問にもありのままに答えてくれます。それだけに、聴いてくださった来場者の皆さんとしては腑に落ちることが多いのではと感じています。
今回の「150人に聞いた通信制高校のあれこれ」シリーズでは、そのなかであった体験談と、私の解説(感想に近いですが)をセットでご紹介させていただきます。
◎夢実現のために働いています【体験談】
サポート校(提携通信制高校)卒業生 SS さん
今年の春にサポート校を卒業しました。今は専門学校に行くために、週4日ほどアルバイトしています。業務内容はデータ入力などの、事務仕事です。
最初は、専門学校の学費を親に出してもらう予定でしたが、家庭の事情もあり、アルバイトをして自分で学費を支払わなければならなくなりました。
ひとまず入学金はすぐに用意しなければいけないので、それはアルバイトで稼いで、そのあとは奨学金を借りるべきか悩んでいます。
僕が行きたい専門学校は映像系の専門学校で、将来ドラマを撮影するカメラマンになりたいと思っています。なぜドラマのカメラマンになりたいかというと、中学時代、ひきこもりだったときに動画のサブスクサービスで配信されていたさまざまな年代のドラマを見あさって、すっかりドラマが好きになりました。
「すごいな!こんな作品を撮ってみたいな」と将来はドラマのカメラマンになりたいと思うようになりました。
高2の夏に、学校のCMを作る機会があって初めて広報用の動画を作りました。それが楽しくて、専門学校に行ってドラマのカメラマンになろうという夢が固まりました。
母校と出会ったのは合同相談会の場でした。中学時代はひきこもりだったので「高校なんて何でもいいや」と思っていたので、会場へは母に無理やり連れてこられたのですが…。
卒業したサポート校に入学を決めた理由が3つありました。1つ目は完全フレックス制で、最低登校日数の制限がないところです。
極端な話、2カ月に1回の登校でもいいし週5で登校してもいいという完全フレックス制だったので、自分のペースで通えるじゃん!っていう理由がまずありました。
2つ目は新設校だったのです。僕が入学したのは2020年度開校の学校で、先輩もいなくて自分が第1期生という立場になるので、人数も少なくて先生が僕のことを見てくれるから安心できると思ったのもきっかけの1つです。
先生との距離感も良さそうに思えました。中学は先生とちょっと合わないところがあったので、学校選びには先生の人柄も重要視していました。
3つ目がブースで話した先生が関西出身だったのです。うちの母も関西出身で、しかも同じ街の出身でした。すぐに意気投合して2時間ぐらいずっと話していました。
もうこの勢いに任せて入学をするしかなかった…という理由もあります(笑)。
入学前は週3日の登校でも多いと思っていたので、最初はペースを落として週1日くらいから行っていました。だんだん友だちと仲良くなって、1年生の最後のほうには週5日で行くようになり、あとの2年間も週5日で通っていました。
僕は中学時代、まともに学校へ行けていなかったので、高校時代は初めて青春できた3年間で、ものすごく楽しく過ごせました。高3の終わりの方には、もう18歳を超えていたので夜遅くまでカラオケに行ったりしてみんなで楽しくやっていました。
◎体験から得た自信があったから【解説】
この卒業生は好きなものができて良かったと思います。夢となったドラマカメラマンもそうですが、学校自体も好きになれて良かったと思います。
この体験談を話してくれた卒業生は、高校生のころからボランティアスタッフとして学びリンクの通信制高校合同相談会に関わってくれています。
高3時にはこの体験談に出てくる専門学校に進学することが決まったようなところがありました。
そこから事情が変わって、卒業後の学費をまかなう都合でアルバイトをすることになりました。一旦確定したと思ったことが変更になることを受け入れるのは、誰でもたいへんな場合が多いでしょう。
サポート校在学中は、学校行事などにも積極的に関わり文化祭の実行委員なども務めていました。
1期生ということもあって、あとに続く後輩たちが楽しく学校生活を送れるようにずいぶん考えていました。
一歩踏み出したことのすべてが報われたわけではないでしょうが、献身的な行動をして周囲から感謝されることで、自分の良さをしっかりとつかめたのだと思います。
その体験から得た自信が、想定外の変化にも柔軟に対応できた要因だったのだと思います。
高校時代について「初めて青春できた」と述べています。卒業後1年間働いたという体験も、いつか人に話せる話題になるでしょう。いつかそれがちょっとした“自慢話”になったらいいな、と願っています。
この秋、予定通りに志望する専門学校から合格通知をもらったそうです。
今回は、「夢実現のために働いています」についてご説明しました。いかがだったでしょうか?
次回は、「小中不登校だったけど大学生になりました」についてご説明します。
次回もどうぞよろしくお願いします!