通信制コンシェルジュ「進路相談日記」78
高校1年0単位で2年生から転校を希望。ある通信制高校から「1年生から入学」と言われた。
2023年11月9日
-こんなご相談を受けました-
▶高校1年0単位で2年生から転校を希望。ある通信制高校から「1年生から入学」と言われた。①相談者:高校1年生女子生徒のお母さま
②相談場面:合同相談会(神奈川・横浜)にて相談
③進路選び経過:全日制高校に入学したが、不登校となり、11月の面談で在籍校から「高校1年生の単位は0になる」と言われた。来年4月からの転校を目指して、ある通信制高校に相談したが、「高校1年で0単位の場合は1年生として入学してください」と言われた。
④ご本人の状態:可能であれば同級生と同じ18歳の3月で高校を卒業したいと思っている。ただ、すぐに転校を考えられるような状況ではなく、来年4月の転校を目途にして、この期間に転校先を探していきたいと考えている。
▶相談内容詳細
※以下、ご相談者様を「相」、コンシェルジュを「コ」と表記
相:先日、在籍校との面談で高校1年は0単位と言われました。本人は留年を希望しておらず、通信制高校に転校して同級生と同じタイミングで卒業したいと言っています。ただ、ある通信制高校に相談に行ったところ、「高校1年で0単位の場合、2年生からは入学できない。1年生として入ってほしい」と言われました。どこの学校もそうなのでしょうか?
コ:そんなことはありませんよ。すべての通信制高校がそういうわけではありません。
相:それは安心しました。学校によって違うのですね?
コ:はい。実は学校によって、「1年間で履修できる単位数の上限」というのがあるんです。たとえば「私たちの学校は年間に36単位までしか履修できません」というものですね。
相:その年に履修できる単位数ですね。それがどのように違ってくるのでしょうか?
コ:まず、高校を卒業するためにはトータルで74単位以上を修得する必要があります。娘さんの場合、高校1年生が0単位で、留年をせずに同級生と同じ18歳の3月で卒業を目指すということですので、高校2年生・3年生の2年間で74単位以上を修得していく、ということになりますね。
相:そうですね。残った期間で残りの単位を取っていく、ということですね。
コ:はい。この74単位を2で割ると37単位になるのですが、この場合は、1年間に37単位以上を履修できる学校でないと、残りの2年間で74単位を取り切れないということになります。
相:たしかに、相談した学校は「1年間に30単位までしか履修できない」と言っていました。そうした事情があったのですね。
コ:おそらくそうかと思われます。ただ、すべての学校がそのような設定をしているわけではありません。上限単位数は学校によって様々なのですが、主な事例として、たとえば、
A高校:30単位
B高校:36単位
C高校:44単位
D高校:74単位
などがあります。
1年生0単位で2年生から転校ということであれば、A高校は年間の履修上限が30単位ですので30単位×2年=60単位、B高校は36単位ですので36単位×2年=72単位となり、残りの期間で74単位を取り切ることができません。
相:ということは、1年間で37単位以上を履修できる学校を探せばよいのですね?
コ:たしかにその通りなのですが、一つだけ考慮しておいてほしいこともあります。たとえばB高校は、74単位に2単位だけ足りません。高校の各科目は、1科目あたり2単位から4単位で設定されていることが多いです。つまり、年度内に1科目でも修得しておけば、2年生からの転校が可能ですよ、ということにもなります。
相:年度内に1科目・2単位だけでも修得すれば、間に合うということですね。
コ:はい。もし、気に入った学校が早めに見つかって、その学校から「1年生0単位で2年生からの入学はできない」と言われても、1年生の年度内に転校をして、数科目だけでも単位修得するかたちにすれば、その学校で同級生と同じタイミングで卒業を目指せることができます。
相:なるほど。ただ、子どもがまだ転校を考えられる状態ではないので、すぐには転校先を決められないと思います。
コ:そうですよね。お子さんの状態が最優先ですよね。それでは、いったん高校1年生が0単位でも2年生から入学できる学校を探していきましょう。
▶お答えした学校選びのヒント
年末から年度末にかけて、上記のようなご相談が増えてきます。通信制高校は「学年制」ではなく「単位制」の学校ですので、基本的に「学年」という概念がありません。「3年以上の間に総単位数74単位を修得する」という考え方なので、1年時に0単位だとしても、残りの2年で最終的に74単位を修得すれば良い、ということになります。
ただ、学校によって「1年間に履修できる単位数の上限」というものがあります。ご相談者の方の事例のように、2年生から転校をして、残った総単位数74単位を取り切りたいという状況であれば、上限単位数が37単位以上の学校が選択肢になってきます。
これは、高校2年生や3年生で転校を考える方にも同様の条件が関わってきます。たとえば2年生までに修得できた単位数が30単位で、残りの1年間で卒業を目指したい場合は、年間の上限単位数が44単位以上(74-30=44単位)の学校が選択肢になっていきます。
しかし、年間の単位数の上限が少ない学校ばかりではありません。仮にそのような条件で転校ができないことがあっても、上限単位数の多い学校もたくさんあるので、安心して進路探しをして頂ければと思います。
なお、このような情報はほとんどオープンにはされていませんので、学校に直接相談をするか、合同相談会の会場などでは通信制コンシュルジュに尋ねて頂ければと思います。
・・・いかがでしたか? 同じような状況のご相談、最近増えています。
進路選択の際に、参考にしてみてください(^-^)
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