通信制コンシェルジュ「進路相談日記」79
いじめを受けて人間関係に不安があります。人と関わらない通信制高校へ進学したいです。
2023年12月1日
-こんなご相談を受けました-
▶いじめを受けて人間関係に不安があります。人と関わらない通信制高校へ進学したいです。①相談者:中学3年生の男の子とお父さま
②相談場面:合同相談会(宮城・仙台)にて相談
③進路選び経過:中学でいじめにあい、人間関係に不安を抱えている。高校はなるべく人と関わらない環境にしたい。そのため、なるべく通学の少ない通信制高校を考えている。
④ご本人の状態:もともと勉強も好きで、いじめにあうまでは楽しく学校にも通っていた。小さいころから野球もやっていて部活動にも参加していた。
▶相談内容詳細
※以下、ご相談者様を「相」、コンシェルジュを「コ」と表記
相(父):いじめにあったので、ちょっと学校が怖いようです。できれば高校ではあまり人と関わらず、通学の少ない学校を探しています。
コ:それは大変でしたね。あまり人と関わりたくないということでしたら、例えば少人数制や1対1の個別対応をしてくれる学校もあります。いずれにしても、スクーリング以外の通学は基本的にご自身の選択ですから、無理に通わず普段は自宅で学習を進めることが可能ですよ。
相(父):基本的に通学は考えていませんので、スクーリングの日数が少ないところがいいです。
コ:わかりました。テレビやインターネットなどのメディアを使った授業を取り入れている学校は、通常のスクーリング日数を6割から8割少なくしています。最短で年間4日から5程度の集中スクーリングで終えられる学校もありますよ。
相(父):そうですか。そういう学校がいいですかね?
コ:それも一つの選択肢だと思いますが、1点だけ確認したいこともあります。もしですが、後々、3年間の中で通学したいと思うかもしれない可能性はありませんか?
相(子):学校に慣れたら通いたいと思うかもしれません。もともと学校は好きで、本当は高校で部活もやりたいと思っていました。
コ:そうですか。それでは、通学する可能性も残しておいたほうが良いかもしれませんね。と言いますのも、例えばこのA高とB高とC高は、先ほどお伝えしたスクーリング日数を少なくできる学校なんです。ただ、入学はできるのですが、日常的に通学できる場所がこの地域にはないんですね。普段はオンラインなどで学習をして、スクーリングは他県の本校まで行って宿泊で行います。
相(父):なるほど。でも、その他の学校ではスクーリングの日数が増えるのですよね。
コ:あくまで標準的なスクーリング日数になります。それでも今は多くの学校がメディアを使った授業を取り入れているので、標準よりは少ないケースが多いです。ただ、標準のスクーリング日数は、年間25単位履修した場合で20日程度。月にすると2回程度です。これはご自身にとっては、多いと感じますか?
相(子):あ、それくらいであれば全然少なくて、通えると思います。
コ:そうですか、それではいったんスクーリング日数は気にせず、ある程度その後の通学も視野に入れながら探してみましょう。ちなみに、もし通うことになったら何がしたいですか?
相(子):もともと野球を続けたかったので、野球部のある学校がいいなと思います。
コ:そうですか。それでは野球部が活動している学校から探してみましょう。
▶お答えした学校選びのヒント
いじめや不登校などで学校不信や人間関係に不安があり、「なるべく通学が少なくて済む学校を教えてください」というご相談はたくさんあります。
もともと通信制高校は通学への負担が少ないので、まずは基本的なスクーリングの標準(25単位履修した場合、年間20日程度)をお伝えします。なぜかというと、人によって「少ない」の印象が異なるからです。上記の通り、「年間20日程度=月にすると2回程度」という日数に対して、「それなら全然大丈夫」という人もいれば、「それでも多い」という人もいます。
「それでも多い」という人には、上記でご紹介したようなメディアを使った授業(放送視聴)を取り入れている学校が一つの選択肢になります。
ただ、注意しなければいけないこともあります。ご相談者の方は、今現在の中学校で起こっている事案(いじめ)を基準に進路選択をされています。もちろん、その視点は大切ですが、高校進学に当たって、人間関係や環境がリセットされることもあります。もし状況が良くなった場合のことを想定して、「実際はどうしたいか?」という本音を聞いてみると、実は「通いたい」や「こんな活動をしてみたい」という人が少なからずいます。そうすると、ある程度、その要素も選択肢に残しておく必要が出てきます。
最近は通学型の通信制高校も増えてきており、本来自由な選択の中で通学できるサービスの一つを「通学しなければいけない」と誤解されている方も増えてきました。本来、通信制高校は通信教育をベースとし、レポート提出と最低限のスクーリングへの出席、そしてテストを受けることで単位は修得できます。
結果的に「やはり通いたくない」であれば、上記のような基本的な通信制高校のしくみを利用すれば良いですし、もし通いたくなったら「通える要素を残しておく」という視点も必要になります。
私立通信制高校の約6割は広域制の学校で、全国から入学が可能です。相談者の方のように、入学は可能だけれど、日常的な通学拠点がないという地域は意外とあります。もし、最初の「なるべく通わずに済む学校」だけで選んでいたら、後々通いたくなった時に「通える場所がなかった」という状況が起こり得るので、事情や本音を聞いて、どちらでも可能な学校を紹介しました。
・・・いかがでしたか? 同じような状況のご相談、最近増えています。
進路選択の際に、参考にしてみてください(^-^)
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