ニュースの読み方・社会の見方⑤
「ちょっと怖い ネットニュースの話」
2018年11月22日
インターネットには膨大な量のニュースが。事実かどうかの判断力が試される。 |
私はインターネットがなかった時代にパソコン通信を仕事に使っていました。インターネットを知ったときは「誰でも世界に発信できる時代になった」とうれしく思ったことを覚えています。インターネットは原則無料で(手続き料や手数料、管理料などは要りますが)、個人でも自分の意見を流すことができ、世界中の人に読んでもらえます。お金がなくて本が出せない、新聞が作れないという人間でも物が言える時代になったと喜んだものです。
いま誰でも無料でメールアドレスを持つことができ、ブログページを作り、動画サイトを持つことができます。そして世界中の多くの人が情報を流しています。その量は膨大で、悪意やウソ、誤りを含む情報も混じっています。なかには犯罪行為そのものもあります。私たちに必要なニュースはその中に紛れ込んでいるので見分ける必要があります。
では、インターネットのニュースサイトにはどのような種類があるでしょうか。
まず、新聞社やテレビ局のサイトが挙げられます。これは、前回までに説明した新聞やテレビニュースと同じものと考えていいでしょう。新聞やテレビよりも解説記事が多かったり、新聞サイトに動画が紹介されていたりするのでより詳しくなっています。ただし、全部見るには有料会員にならなければならないサイトもあります。
次に、独立系ニュースサイトと言われているものがあります。既存の新聞社やテレビ局とは独立しており、独自に取材し、情報を得ます。記事中心のJ-castニュースやHUNTER、ネットテレビ局としてのOurPlanetTVやIWJなどがあるので、関心のある人は検索してみてください。
おなじみのyahoo!やgoogle、MSNなど大手検索サイトでもニュースが流されています。新聞・通信社・テレビ局のニュースをそのまま転載しているのが目につきますが、他のニュースサイトや読者が多いブログニュースも含んでおり、より広く情報を収集しているので、商品PRの記事や事実関係の確認が弱い記事もあります。これらを見分ける選択眼がより必要になってきます。
このほか、ネットにはビジネスなどテーマを絞ったニュースサイトがあり、また個人のブログニュースもあります。ニュースが流れるたびに自分の意見を発表する人も増えているのではないでしょうか。問題は、これらの雑多な情報がどの程度信用していいものなのか判断しにくくなっているということです。発信元はどこか、筆者はどういう人か、情報の根拠ははっきりしているか、しっかりと判断する姿勢を持ってください。
最後にもう一つ、私が気になっている点を述べます。ネット販売を利用するときに自分が選んだ商品に関連した商品が自動的に画面に紹介されます。ニュースサイトでも選択したニュースに関連したニュースが画面に次々にリストアップされます。主張が同じようなものが並んだりもします。それはデータマイニングという技術ですが、人工知能(AI)が進むとその人が要求しなくても生活環境のすべてを快適な条件にできるといわれています。
自分の考えに近いニュースだけが与えられ、いつのまにか自分の考えが凝り固まっていく――そうなったら怖いですよね。違う意見を持った人の存在を許せなくなってしまうかもしれません。
社会がそうならないことを祈っています。そのためにネットニュースの世界に関心を持っていただきたいと思います。