椎名雄一先生コラム『不登校に効く心理学の話』11
状況をよく把握しよう
2022年9月16日
日々皆さんとメッセージのやりとりをさせていただいたり、カウンセリングをする中で気づいたことや傾向などをこのコーナーでお伝えしています。
この9月は3月に並んで大変な時期ですよね。
夏休みの宿題が終わっていないから学校に行かない
ゲームと昼夜逆転でコンディションが整わなかった、などなど
いろいろなことでお子さんはつらい思いをし、保護者としてもイライラ、もやもやしやすい時期です。
そんな時によくあるご質問が
「勉強をしないのですが押しが方が良いか?引いた方が良いか?」
「登校刺激をした方が良いか?しない方が良いか?」
というようなものです。
ご相談くださっている保護者の皆さんのお気持ちはとてもよくわかります。
それこそ「これからどんな言葉をかけたら良いかを知りたい」くらいの臨場感でメッセージを書いておられるのだろうなと感じます。
ただ、「勉強」「不登校」のような大きな単語で状況を把握している限り見えないものがります。
ここでひとつ例え話ですが
キャッチボールをしていたら、バットを持った人が間に入ってきて邪魔をするのです。続けた方が良いでしょうか?やめた方が良いでしょうか?
と聞かれたら多くの人は「やめた方がいい」と答えるのではないでしょうか?
しかし、この話の場面が野球だと知っていれば、バッターが誰でピッチャーが誰だかわかっていたら話は違います。「外角低めのスライダーからのインコースギリギリのストレート」がいいんじゃないか?のような正解がありそうですよね。本当ならば今、何球、投げたところだとかランナーがいるかどうかも重要です。
このピッチャーの悩みのようなものを「投げるか」「やめるか」で制御するのはほぼ無理です。
キャッチャーや監督くらいの関わりで「球種」や「間合い」などを工夫していけば答えはあります。
そしてそれは「ゲーム」「宿題」「学校」「友達関係」などにおいても同じことです。
ゲームの種類やタイミング、今やっているミッションなどによってやめるタイミングや関わり方が違いますし、宿題も科目によって、課題によっても難易度が違います。一般に社会科のような記憶するものはやりやすく、英語数学のような前提がわかっていないとできないものは難しい傾向にあります。
しかし、お子さんの中には数学が楽しいと思える場合もあります。友達関係も相手が「ジャイアン」なのか「スネ夫」なのかで対応が違います。
解決方法を探る前にもう少し状況を詳しく聞けると解決の難易度が大きく変化しますので、「急がば回れ」と思って試してみてください。