【学びリンク公式SNS】
フォロー/登録よろしくお願いします!

X(旧Twitter)  Instagram  Facebook  YouTube  LINE 

椎名雄一先生コラム『不登校に効く心理学の話』41
失敗することの難しさと大切さ

 2024年4月15日

 


カウンセリング室の椎名雄一です。
日々皆さんとメッセージのやりとりをさせていただいたり、カウンセリングをする中で気づいたことや傾向などをこのコーナーでお伝えしています。

今回は「失敗」についてお話しします。
「失敗」は避けた方が良いことでしょうか? 多くの親子は失敗することを避けているように思います。「勉強していないから(失敗しないように)テストを受けない」という子は多いですし、「我が子が(失敗しないように)通える通信制高校を探している」という保護者も多いですね。

では「失敗」は良くないものなのでしょうか?

営業マンが営業をします。商品や経済の動向などによりますが、100%成功する営業マンはいないのではないでしょうか? 1割2割でも良い方かもしれません。

打率もそうですね。打率10割という人はいません。3割でも良い方です。

戦国時代の戦争でもそうです。仲間が誰も死なない戦争を仕掛けるのは無理です。仲間が100人死んで、戦争に勝つという方法を選びます。

どれも「失敗」と言えそうな場面を含んでいる現象です。

誤解を恐れずに大胆にまとめると「就職活動」以降に我々がする「面接」「営業」「恋愛」「人間関係」「育児」「交渉」「転職」などはどれも成功率1割とか3割という世界です。ものによっては1%もない確率に挑戦することも良くあります。それが社会ですね。

「勉強」や「学校」は
足し算を覚えたら、確実に正解することができます。向き合えば成功率は100%です。会社と違って、先生方はこちらを向いて教えてくれます。こんなに費用対効果が高い挑戦は他にはありません。誰も邪魔しないし、天候や景気に左右されないのです。そこで「失敗」しても復習をして学び直せば成功率は100%です。その費用対効果が高い環境に慣れてしまうと「失敗」を避けるようになります。親が我が子の失敗を恐れて、手を回してしまえば大事な失敗を経験できません。

一方で「不登校」は
「面接」や「営業」「恋愛」のカテゴリに似ています。頑張ったから結果が確実についてくるのではないし、親子関係が良ければそれだけで良いわけでもありません。努力が報われる確率は1割くらいかもしれない。それは世間では当たり前の成功率なのに「失敗」を避けている人は「何で100%じゃないんだ?」「なぜ、やらないんだ?」「なぜ、失敗したんだ?」となります。

失敗を経験していない人は10回、100回やってみたら「当たり」が出るよ。という行動に出られない。最近では大学は卒業してみたものの就職活動ができない人が増えています。「失敗」を 積み重ねて結果を出す方法にあまりにも慣れていないからです。

・「失敗」の結果、問題意識が湧いてきた
・「失敗」を繰り返した結果、誰も辿り着けていない発見をした
・「失敗」は「成功」までのプロセスなんだと実感できた

この辺りの感覚をお子さんに伝えることができていないと「失敗しないように部屋にこもって、親の背中に隠れていよう」となります。これは大変危険です。
不登校にも色々なパターンがあるので全てそうではありませんが、もし、お子さんが失敗を恐れて動けなくなっているのだとしたら、親が失敗を恐れて取り除き過ぎているのかもしれません。
一度チェックしてみると良いかもしれませんね。