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学びリンクで働く!元不登校・通信制高校卒業生のつぶやき
10:通信制高校の先生たち

 2023年7月3日

 


こんにちは。
学びリンク編集部で働いている、元不登校・通信制高校卒業生の柳野です。

このコラムでは、そんな私が通信制高校の専門出版社である「学びリンク」で働きながら感じたことを紹介します。

第10回目を迎えた今回は、通信制高校の先生たちについてです。

最近、学校選びの相談で、「複数の学校を見学したけれど、どこが子どもにとって一番なのかわからなくなってしまった」とお電話がありました。そして、そのお母さんが、「どの学校の先生も対応がよくて、良し悪しがつけられない」とおっしゃっていたことが印象的でした。

その相談を受けた日の帰り道は、母校でお世話になった先生たちや取材で出会った先生方を思い浮かべながら、通信制高校の先生たちの共通点を考えました。

そんな時に思い出したのが、不登校新聞代表の石井志昴さんが取材でおっしゃっていたことです。

不登校の親にとっては、通信制高校へ入学相談をした際に、先生が子どもの状況や保護者の想いを受け入れて、理解してくれることが、今まで知っていた学校とは別世界だと感じられた方もいらっしゃると思います。

それは、子どもにとっても同じことだと思いました。母校の入学試験の面接で、私が「中学では学校に行けていませんでしたが、高校では、週5日通いたいです」と言った時に、両親は苦笑いしていた一方で、面接官の先生は、「そうか。そんな先輩たちがいっぱいいるよ」と目を真っすぐ見て、真剣に話をしてくれたことを覚えています。

今振り返ると、私にとっての通信制高校は、私自身を決めつけない、変な目で見ない大人との出会いの場でもあったと思います。その中で一番忘れられないのは、オーストラリア留学でお世話になった先生です。その先生は、私が幼い頃から誰にも話せなかった性の悩みを初めて打ち明けた人でした。

私は、幼い頃から男性だけでなく、女性にも魅力を感じる人でした。当時は性自認や性的指向といった概念なども知らなかったため、「そんな自分は変なのだ」と思う日々でした。
中学3年くらいの時は、世の中には同性を好きな人もいると何となく知りながらも、そんな感情を抱く自分は女性なのか?という疑問と、「女の子らしくしなさい」「どうしていつもそんなに髪を短くするの?」「どうしてスカートを着ないの?」と言う親への反抗心でごちゃごちゃしていました。

そんな時に、留学したオーストラリアの生活は、服装が自由で、親もいない環境で、自分を試せるチャンスだと思いました。そこで、私は先生に、これまでの違和感を話し、「スカートではなく、ズボンで登校したい」と相談しました。

すると、先生は、「いいよ。もっと早く言ってくれたらよかったのに…。トイレや他のことで気になることはある?」と、とやかく何も言わずに、私の希望を受け入れてくれました。

まだはっきりと自分の性がよくわからない状態の私をそのまま受けとめてくれて、「迷っている自分がいてもいいんだ」と初めて自分を認められた瞬間でした。

そんな留学から帰国後、地元のキャンパスへの登校で久しぶりにスカートを履いた際に、どこかうきうきする自分がいました。その時、「別にスカートが着るのが嫌なわけではないのだ」と気づくことができました。

そして、その後、私の性の揺らぎに対して相談にのってくれたのは、地元のキャンパスの担任でした。これまでも同じ悩みを持つ先輩たちがいて、中には、その分野を研究している先輩もいると紹介してくれました。それがきっかけで、自分も大学では、LGBTQに友好的な街に留学し、視野を広げることができました。

先日、あるサポート校の取材に行った際、キャリア担当の先生が生徒の進路相談にのる時に大切にしていることを話してくれました。

迷うプロセスがすごく大事。迷いながらも決めていくことが自分の人生なので、そこを奪ってはいけないですよね。大人側は早く決めさせたいので、『どっちだ?』と迫ったり、『あなたはこっちだ』と決めつけたりしてしまう。でも、もし自分が生徒の立場だったらどうだろうと思いながら、生徒と向き合っています。

これまで出会った通信制高校の先生たちにも通ずることだなと、腑に落ちました。通信制高校の先生たちと出会って、「世の中、捨てたもんじゃない」と思うようになりました。