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学びリンクで働く!元不登校・通信制高校卒業生のつぶやき
16:祖父母がそばにいたからこそ今がある

 2023年11月9日

 


こんにちは。
学びリンク編集部で働いている、元不登校・通信制高校卒業生の柳野です。

このコラムでは、そんな私が通信制高校の専門出版社である「学びリンク」で働きながら感じたことを紹介します。

先日の町田相談会で、eスポーツが好きなお孫さんを持つ方と出会いました。「eスポーツができる学校を調べてみたのだけど、他にもまだあるかしら…」と声をかけていただきました。その方の手元のメモには、自ら調べた学校がずらり。それらの学校は的確で、お孫さんの好きなことを伸ばしたい思いがひしひしと伝わってきました。

そんな熱心な姿を見て、私は、自分の祖父母に思いをはせました。私自身も、祖父母には随分お世話になったからです。

私の実家と母方の祖父母の家は徒歩10分。幼い頃は、共働きの両親に代わって、朝から晩まで面倒を見てくれました。そして、幼稚園や小学校に行けない日の私の居場所でもありました。

母は出勤時に、私を祖父母の家まで送ってくれました。いつも泣きべそをかきながら車から降りてくる私に、祖父母は少しあきれつつも温かく迎えてくれました。

しかし、祖父母との日々はのんきに過ごしてはいられませんでした。「働かざる者食うべからず」。学校に行かない分、家でできることに取り組み、規則正しく過ごすことが祖父母の家にいられる大前提でした。

まずは、祖母と朝ドラを観ながら朝ごはん。そして、掃除や洗濯、庭の手入れなどのお手伝い。気が向いたら、教科書ドリルを解いたり、ピアノを練習したりしました。昼食後は、祖母と買い物に行って、夕飯のしたく。夕方には、祖父母の日課の温泉に一緒に行くというルーティンでした。

今振り返ると、祖父母は一緒に過ごす時間の中で、学校や集団生活の中で学ぶことを教えてくれていたのだと思います。
おはじきで遊びながら四則計算を教えてくれたり、新聞を読ませたり、自転車で運動したりしました。学校に戻った時に、必要最低限押さえておきたいことや、時間割通りについていける体力・生活リズムを整えてくれていたのだと思います。

特に、温泉は、家族以外の人との交流を保つ場でもありました。笑顔で自分から挨拶をすること。みんなが気持ちよく温泉を楽しめるように公衆のマナーを守ること。背中を流してもらったら、お礼に背中を流したり、水汲みを代わりにやったりすること。祖母は、人を思いやって行動する大切さを教えてくれました。

そんな祖母は、休憩でお茶を飲む時間に、私の話をよく聞いてくれました。私が学校での不安や家での不満などを口にすると、よく祖母自身の話をしてくれました。引っ越し先の地域に馴染めなかったことや、がんを患った時のことなどでした。そんな話をする度に、祖母は私にこう語りかけることがありました。

あみちゃん(孫)が悲しむ姿を見るのもつらいけど、お母さん(娘)のそんな姿を見るともっと苦しくなるの。やっぱり、あなたのお母さんは私の娘だからね。でも、それはお母さんもきっと同じだと思うよ。だから、あみちゃんもお母さんのことを思ってやって。

子どもながらに、「つらいのは自分だけではないのだ」と気づかされました。

一方、中学で不登校になった時は、小学校での不登校の時のように元気ではありませんでした。体を動かすこともままならず、祖母が毎日、様子を見に来てくれました。
犬と寝ている私のそばで、何もしゃべらず、もくもくと洗濯物をたたむ祖母。手をマッサージしたり、目や肩を温めたりしてくれました。

そんな祖母の献身的な姿に自然と涙が流れ、「このままではだめだ。やっぱり、元気なりたい」と思うようになりました。

祖母は、学校に行けず、どうしようもない私の姿をずっとよく見ていました。だからこそ、山村留学や海外留学に挑戦したいと言い出した時は、誰よりも早く、一番に賛成してくれました。
「かわいい子には旅をさせよ」と両親の背中を押してくれたのも祖父母でした。そして、私の成長を誰よりも褒めてくれる存在です。

そんな祖父母がそばにいなかったら、今の自分はいないと思います。
今、祖父は91歳、祖母は86歳になりました。一緒にいられる残りの時間で、感謝をできる限り、体現していきたいです。