「気になりますね!通信制高校」
通信制高校始まって以来の人気! でも続くの?①
二極分化でなく「二極“安定”」化!?
2025年2月3日
◇◇「通信制高校始まって以来の人気! でも続くの?」(3回連載)
第1回 二極分化でなく「二極“安定”」化!?
2024年度も“通信制始まって以来”という表現が通信制高校教育界の至るところで聞かれました。生徒数は24年12月に発表された学校基本調査(文部科学省、5月1日現在確定値)で290,087人と過去最高を更新し転入生が加わる年度末生徒数では間違いなく30万人を突破します。私立通信制高校のここ数年のトレンドは、全日制高校による通信制課程の新設が相次いでいることです。21年度から今春・25年度までの5年間に新設された私立通信制高校72校のうち7割近い48校が全日制高校が新設した通信制高校です。
実績をもったルーキーというような存在が加わったことで通信制高校の存在感は“厚み”が増しています。
◎成長が固定する? 二極“安定”
生徒数約30万人の約8割の生徒数を占めているのが私立通信制高校です。この点は、公立校の生徒が多くを占める全日制、定時制と異なります。このシリーズは、私立通信制高校を中心に書き進めていきます。
私立通信制高校の生徒数を1校1校見ていくと生徒数1万人以上と数百人規模の学校が共存しています。この差は収容定員の制約もありあまり縮まりません。
こういう場合、好調と低迷の両者の格差が固定する二極分化という表現になりがちです。
ところが、ここ数年の推移を見ると大・中・小各模校がそれぞれ成長しています。数値で見れば24年度に生徒数が前年度を上回った私立通信制高校は約82%となります。23年度もやはり約83%が前年度比生徒増でした。超ハイレベルの好調さが続いています。
現状の私立通信制高校は「二極“安定”」―。こんな言葉で表現されるように思います。通信制という学び方が見直され、それぞれの規模の学校に地域の教育ニーズが集まっています。
◎規模に関わらず成長!?
学びリンクが集計した私立通信制高校214校の生徒数推移を見ると、過去3年間に新設された高校を除く174校では3年間連続して前年度の生徒数を上回っている高校が約43%・75校を数えます。
24年度に生徒数1万人を超える“1万人高校”(※同一法人等による複数校開設を「1校(グループ)」として集約)は7校あります。前年度から1校増えました。
とかく大規模校が多くの生徒を集めているため注目が集まりがちです。マスコミ等に取り上げられる機会も多いです。一方で、各校を詳細に見ていくと中堅・小規模校への期待も手堅いものがあることがわかります。
集計した214校を生徒数規模で分けると500人以上・86校(40.2%)、500人未満・128校(59.8%)となります。
500人以上の生徒を抱える学校は一定の歴史を持っています。この区分には22年度から24年度の過去3年間で設立された学校は4校しかありません。しかも4校のうち3校は既設校があり、その姉妹校として設立されました。入学できるエリアあるいは募集定員面で既設校と補完関係にあります。
広域校(全国など3県以上から入学できる)は67校(78.0%)、狭域校(本校所在地県あるいはそれに加えて隣接1県から入学できる)は19校(22.0%)で、圧倒的に広域校が多くなります。
一方、500人未満の学校は22年度から24年度に設立された学校が36校(28.1%)となっています。これからの“伸び代”のある学校が多く含まれます。やがて通信制高校界の中間層を形成する学校群です。広域校は53校(41.4%)、狭域校は75校(58.6%)で、狭域校は前述したここ数年で開校してきた全日制高校による併置校というタイプの学校が多く含まれます。地域に根ざした存在です。
24年度生徒数を前年度と比較すると500人以上校は71校(82.6%)が前年度増となっています。500人未満校は93校(72.7%)で前年度増となっています。ともに好調と言えます。
現状の私立通信制高校は成長格差のある二極分化と言うより「二極“安定”」化の時代になっているように思います。
少子化という決定的な制約があるなかで各校が成長するには通信制ならではの教育内容と地域の教育ニーズをクロスさせた個性的な学校づくりが求められています。
今回は、『二極分化でなく「二極“安定”」化!?』についてご説明しました。いかがだったでしょうか?
次回は「通信制始まって以来30校も新設!?」についてご説明します。
次回もどうぞよろしくお願いします!