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椎名雄一先生コラム『不登校に効く心理学の話』44
他の子を見るとつらくなってしまう理由

 2024年6月4日

 


カウンセリング室の椎名雄一です。
日々皆さんとメッセージのやりとりをさせていただいたり、カウンセリングをする中で気づいたことや傾向などをこのコーナーでお伝えしています。

カウンセリングの中で「他のお子さんを見るとつらい」とおっしゃる方は結構多いです。不登校 がお子さんだけの問題ではなく、親の心理状態にも影を落としていることは見落としてはいけない事実だと思います。

1)比較による自責感
世界中で親は子どもを育てています。そして、子どもはやがて大人になり、社会に出ていきます。
比較し始めたらそれはそれはたくさんの親子のドラマが出てきます。テレビで高校野球を見れば同年代のお子さんとその親が頑張っている姿を見てしまいます。芸能人やスポーツ選手として活躍している人を見ると「ああいう人生もあるのか」と羨ましく思うこともあるかもしれません。

そして比較対象は親戚のお子さんや近所に住む同じ年代の子、、、比べれば比べるほど焦りや自責の念が湧いてくるかもしれません。

一方で「きゅうり」「ネギ」「大根」「キャベツ」「モモ」「いちご」・・・を育てている農家さんを想像してみるとビニールハウスを使っていたり、支柱を使ったり、、、時期も違えば、育てる期間も全く違います。「ネギ」のように土手を作って「キュウリ」を育てる農家さんはいませんし、「モモ」が「キュウリ」のようにすぐ収穫できないと植え替えたりする農家もいません。

それぞれのやり方、タイミングがあるからです。

お子さんが「モモ」だとしたら、、、「モモクリ3年、、」というくらいですから数年はかかりますよね。それを「キュウリ」と比べ「大根」と比べ、、、とやっていたら3年が経つころには いじりすぎて枯れてしまいます。

お子さんにはお子さんのやり方、ペース、タイミングがあることをしっかり見極めることができれば気持ちを落ち着けることができます。違う品種の野菜の育て方をいくら見ても焦るばかりですね。

2)孤独と不安
お子さんが学校に所属していると自動的に保護者も学校や地域と関わる機会が増えます。逆にお子さんが学校に行っていないと保護者もコミュニティに居づらくなっていきます。人生は流れに乗っていると(その流れが間違っていたとしても)安心していることができます。逆にひとりで歩いていると強い孤独と不安に襲われます。「助けて」と言っても違う道を歩いているマジョリティの人には理解してもらえないからです。その意味でもコミュニティの輪の中にいる親子を見ると気 持ちがざわつくのは無理もないかもしれません。

学びリンク株式会社のカウンセリング室ではオンラインで参加できる保護者会(ほごらぼ)を運営しています。そこでは「実は不登校で、、、」という自己紹介は「あ、、そのあたりはみんなそうなので、、、」と返されてしまうような雰囲気があります。似たような状況の保護者同士が力を合わせられると孤独と不安が少し解消するのではないかと思います。

3)一喜一憂で疲れてしまう
不登校において一番重要なことは「お子さんの気持ち」です。どれだけ学校を調べても入学を決 めてもお金と労力をかけても「嫌だ」「むり」と言われたら終わり。そんな感じです。だからこそお子さんの気持ちのアップダウンに連動して、希望を見出してみたり、絶望したりを保護者も繰り返します。そして周囲のうまくやっているような親子を見るとその一喜一憂がさらに増幅されます。そして、お子さんの不調に反応して保護者の不調になるのでお子さんのマイナス感情をさらにさらに増幅することにもなりかねません。

こういう時には「数年後、安定している我が家」を想像してみるのがおすすめです。不登校は長期化すると言えども10年続いているところはあまりありません。3年後、5年後には良い状態になっている。むしろ不登校を経験して良かったと言えるような状況になっていると考えることができると少し視野が広がり呼吸をすることができます。

周囲と比較してしまっているなと気がついたら、将来の「ほっとしている自分」に気持ちを向けてみてはいかがでしょうか?