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椎名雄一先生コラム『不登校に効く心理学の話』45
「できるかどうか」は進路と関係ない

 2024年6月19日

 


カウンセリング室の椎名雄一です。
日々皆さんとメッセージのやりとりをさせていただいたり、カウンセリングをする中で気づいたことや傾向などをこのコーナーでお伝えしています。

「医者になりたい」と夢を描いた学生が「自分は外科の手術が得意だから」とか「自分は内視鏡が・・・」という理由で医学部を目指すことはありませんね。医学が得意、、できるということではなく、「やりたい」ということで医者を目指します。

実際に医療に携われるようになるにはそれから3年5年かかります。
「できるかどうか」がわかるのはそれからです。

企業で働くのもそれに似ています。
やりたい業種、業界を選んで実践経験を積み上げたり、学びを積み重ねて次第に「できる」ようになってきます。中途採用ならばともかく、新卒でいきなり「できる」ことは重要なことではないのです。

しかし実際には「できないから」「やったことがないから」と挑戦しない人が結構います。
さらには失敗しないようにまわりの大人が先回りしてしまうこともありますね。

ゲームをする時に
「よくわからないゲームでできるかわからないけれどやってみたい」
と思って挑戦して、何回かやられてしまってコツを掴んでいく。

これは子どもたちがとても慣れ親しんでいる成長のプロセスですね。

もし、レベル100のキャラを作っておきました。
と言われたら「やってみたい」と思わなくなってしまいます。
自分で失敗して、自分で工夫して、自分で成功や成長を味わいたいとしたらレベル100は余計なお世話です。「できる」「できない」が大事なのではなく、それに挑戦するのに「価値がある」と思えることが大事だったりしますので、その意味で周囲が「できること」に固執して手を出すことが害になることもよくあります。

「やりたい」と思ったことに挑戦して、試行錯誤して、「できるようになっていく」ことを許容してあげると子どもはどんどん成長します。できないことを責めたり、NGを出したり、できるように無理やりサポートをすることを避ければお子さんはやがて自分で前に進むようになります。

「今できないことには挑戦しない」
という価値観と

「今できなくても挑戦して良い」
という価値観を選べるとしたら後者の方が伸び代がたくさんありますよね。

その意味では「失敗する経験」「できない経験」には価値があります。何かの挑戦して、うまくいかなかった時に「選択が間違えだった」となるのではなく、「素晴らしい挑戦だった」と捉えられるようにしていきたいですね。