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椎名雄一先生コラム『不登校に効く心理学の話』46
気持ちを落ち着けてからお子さんと関わる

 2024年7月1日

 


カウンセリング室の椎名雄一です。
日々皆さんとメッセージのやりとりをさせていただいたり、カウンセリングをする中で気づいたことや傾向などをこのコーナーでお伝えしています。

お子さんと関わるときに「気持ちを落ち着けてから関わる」ことはとても大事です。

例えば、学校の式典やイベントの時に開始3分前くらいになると「会場の近くにいるのですが道に迷ってしまって」という方や「少し遅れます」という連絡をしてくる方が結構な確率でいます。

少し気持ちを落ち着けて考えれば、式典やイベントの3分前に電話ができる余裕があるでしょうか?多くの教職員は持ち場について、自分の役割に集中している時間です。そして、準備万端整えていた教職員が「少し遅れる」という結果になります。

この「相手の状況が見えていない」というのは「気持ちを落ち着けて」でだいぶ防ぐことができます。

こちらが「夕飯の準備ができた」から「ご飯だよ!すぐに来なさい」と声をかけるのは良いですが、お子さんの側は何をしていたのでしょうか?

・友だちの大事な話につきあっていた
・人生の一大事を一生懸命に考えていた
・仲間と約束をしたゲームをプレイしていた
・恋愛をしていた


毎日、重要なことが続いていることはないですが、「今日は違う」とも言い切れませんね。

コミュニケーションとは「こちらの事情」と「相手の事情」を理解あるいは察した上でするものですね。ゲームを悪だと決めつけて、せっかくできた友だちとの人間関係を壊してしまう保護者は結構います。興味関心があるものを調べるよりも英語数学などの主要五教科が大事だと決めつけて、社会や人生への関心の芽を摘んでしまう保護者も多いです。

そういう保護者に限って、「友だちを作りなさい」とか「社会に関心を持ちなさい」と別の場面で言ったりします。お子さんからすれば「この前やっていたのに」という感じです。

お子さんがやっていることは親とは価値観も切り口もタイミングもスピードも違いますから「気持ちを落ち着けて」いないと誤解してしまいます。勝手に解釈してしまったり、こちら側からの価値観だけを押し付けてお子さんのやる気を削いでしまいます。

学びリンクのカウンセリング室では保護者同士が気持ちを共有する場を設けることで感情の矛先をお子さんに向けずに落ち着かせることを推奨しています。不安や焦りや不満を飲み込んだまま、、、飲み込み続けた保護者とそれを解消している保護者では視野が全く違います。多くの場合、余裕がある人は「こちらの事情」と「相手の事情」が見えますが、余裕がない人は「こちらの事情」を押し付けることしかできません。

「お子さんの事情」と書かずに「相手の事情」と書いているのには理由があります。

「こちら側の事情」しか見えていない人は
お子さんに限らず、家族、教師、医師などと接していても「相手の事情」を考慮する余裕がないのでもめてしまいます。他の家族は別の視点で活躍していたり、教師はまず教室にいる生徒の対応が先だったり、医師も100人くらい診察していたりするわけです。

人はそれぞれやるべきことがありますので、自分と同じ視点で自分の思ったように対応してくれることはありません。余裕があればその視点の違いが心強かったり、バランスを取るのに役立ってくれますが、余裕がないと「理解がない」と否定的になりがちです。

その意味でもまず自分自身の余裕を確保すること。決して、差し伸べられた手を叩き落としてしまわないように気をつけたいですね。